雪氷による冷気を利用して道産の農産物を貯蔵、付加価値を付けて首都圏など消費地に通年出荷することを目的にした「食料流通備蓄推進協議会」(任意団体)の設立総会が25日、北海道経済センター7階で行われた。3月末に解散した「大規模長期食糧備蓄基地構想推進協議会」の主要メンバーが流通に特化した雪氷倉庫を3年以内に建設することを目的に新たに設立したもので、民間主導による社会資本整備事業と位置づけられる。(写真は、25日午後に開催された食料流通備蓄推進協議会の設立総会)
 
 設立総会には、美唄や釧路の食料基地構想協議会のメンバーや行政関係者、民間会社社長のほか金融界から北海道銀行頭取ら23人が参加した。
 
 会長には故渡辺省一自民党衆議の肝いりで発足した美唄大規模冷温食料備蓄基地協議会会長で美唄商工会議所会頭の岸本邦宏氏(岸本組社長)、理事長に森田哲明北海道国際経済交流会会長が選ばれたほか理事には高橋幹夫美唄市長、堰八義博道銀頭取、岩田圭剛岩田地崎建設社長、栗林定正釧路食料基地構想協議会会長(三ツ輪運輸社長)ら8人が就任した。
 
 新発足した食料流通備蓄推進協では、先に解散した大規模長期食糧備蓄推進協が14年間活動してきた結果、雪氷貯蔵など知見が得られたものの具体的成果を生まなかったことを踏まえ、3~5年の時限組織とし道内の産地と輸送拠点の港湾に雪氷倉庫を複数建設することを事業目的にしている。
 
 道内の農産物の多くは、収穫期にホクレンを通じて首都圏の冷蔵倉庫に出荷されるバルク(大量一括)販売が中心。これを道内の雪氷倉庫で貯蔵することによって農産物の糖度を高めるなど付加価値を付け、端境期に高い値段が付く時期に出荷できるようにする。農業生産者のビジネスチャンスにも繋がる。森田理事長は、「国の主導ではなくて民間が先行しながら自治体や国の力を借りる民間先行型社会資本整備事業と位置づける」と言う。
3年後をメドに産地で2万t、港湾拠点に5万tの貯蔵ができる雪氷倉庫建設を進める。流通備蓄だけでなく災害時にも役立てられるようにする。
 
 同協議会では、監事に就いた川合紀章国土交通省北海道局参事官や農水省とも連携を取りながら6月から札幌、釧路、石狩、美唄などでプロモーションを行い、雪氷倉庫建設の機運を高めていく。


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