道の主催による「北海道スマート農業シンポジウム」が15日、札幌市中央区のかでる2・7大会議室で開催された。ロボット技術やICTを活用して省力・高品質生産を実現するスマート農業は、本道農業の将来を切り拓くうえで不可欠と期待されている。シンポジウムには、行政や農業団体、生産者など約300人が参加、会場は熱気に包まれた。IMG_2615(写真は、スマート農業の課題や解決策について議論したパネルディスカッション)

 シンポジウムでは、農林水産省生産局農産部技術普及課課長補佐の角張徹氏が、『スマート農業実現に向けた施策の展開』について基調講演。GPSガイダンスシステムを使ったトラクター自動操舵システムや自動走行トラクターでの有人―無人協調システムの実証例などについて紹介した。
 
 続いて国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(略称・農研機構)北海道農業研究センター上席研究員の村上則幸氏が『GPSガイダンスシステム・センシング技術等を活用した先端技術』について紹介、道農政部生産振興局技術普及課主幹の大塚真一氏が『道内の現地実証事例と今後の道の取り組みについて』と題してそれぞれ報告した。
 
 実際にロボット技術やICT技術を導入した生産者らを交え、『先進農業技術の利用上の課題と解決方向』をテーマにしたパネルディスカッションも行われた。
 昨年からロボットトラクターの有人―無人協調作業をしている音更町の三浦農場代表・三浦尚史氏は、「すべて自動化すると高コストになってメリットはない。人の作業とロボット作業のバランスが必要。ロボットにむいている作業とそうでない作業があるのでその見極めが大切」と述べた。
 
 農研機構北農研センターの村上氏は、「GPS自動走行システムを導入した農業機械では、ハンドルの遊びの違いによって走行に違いが出たり、2駆と4駆の違いなどによってうまくマッチングしない場合もあるので、きちんと管理できるように今年はそれを研究していく」と話した。
 道総研十勝農業試験場研究主任の原圭祐氏は、「実用化した小麦の可変施肥システムでいろんな作物への適用を研究するとともに、小麦では元肥でも適用できるよう近く商品化したい」と話し、北海道の平均的な畑作農家面積30haでセンサー施肥との併用で採算がとれるようになるだろうと示した。
 
 網走普及センター美幌支所専門普及指導員笠原亮平氏は、「ICT導入のコーディネーターとして、共同利用の合意形成や何に困っているのかを見つけるのが私の仕事。費用対効果の経済合理性はどのくらいあるのか、身体が楽になるのか、自分経営スタイルや目標に適しているかなど、先進技術のトップランナーと次に繋がる人とのネットワークがあれば良い」などスマート農業普及への課題を示した。
 
 北見市の農業生産法人イソップアグリシステム事業部長の金崎拓也氏は、「北海道は、GNSS(衛星測位)に必要なRTK基地局が多く、位置情報を送信するチャネルがいっぱいになる可能性がある」と懸念を示した。それに対して、同シンポに参加していた道総合通信局の担当者は、「RTK基地局のGPS用周波数を10チャネル増波してメーカーと調整中」とした。
 スマート農業は、大規模農業が中心の道内では競争力強化の鍵を握る有力な方向で、今回のシンポジウムには定員を上回る300人が詰めかけた。会場は熱気にあふれスマート農業への関心の高さを窺わせた。


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