道の関与団体の対応を巡って、道と農業団体がいがみ合いを続けている。
発端は、牛の精液や受精卵の販売など家畜の遺伝改良推進を事業にしている社団法人ジェネティクス北海道。
ジェネティクス北海道は基本財産3億6800万円で道の出捐金は1000万円。出捐比率は2・7%。道からの委託料や補助金を毎年交付されているほか道退職者1人を受け入れている。


道は、関与団体調査のために定期的に監査を実施しているが、同団体の交際費などを記した帳簿類を道の担当部署が精査するために持ち帰ってしまったためだ。
ジェネティクス北海道の最大出捐者は43・5%を出しているホクレン。有無を言わさぬ道のやり方に怒ったのがホクレンの佐藤俊彰会長。「我々はキチンと規定に沿って交際費を使っているのに、なぜ帳簿類を一切合財持ち帰るのか」と怒りを隠さないという。
道と農業団体は、北海道農業の振興のために、いわば持ちつ持たれつの関係。公的な色合いの強い農業振興については、財団や社団を通じて道と農業団体は共同事業を展開している。道と農業団体は、一心同体とも言える信頼関係の中で北海道農業を守り育てることで一致している。
その紐帯にヒビを入れかねないのが、今回の“ジェネティクス騒動”。
道庁関係者は、「農政部と関与団体の調査をする行政改革局との間には意識のズレがある。農政部は北海道農業の振興をベースに考え、行政改革局は道財政をベースに考える。この差が、今回の“騒動”の根っこにある」と言う。
しかも、関与団体のあり方についての評価は、道は外部有識者の意見をほぼ丸呑みする形。道庁関係者からさえも、「行政改革局は外部有識者の意見を頑なに崩そうとしない。文化大革命の紅衛兵のようなもの」という声が漏れる。
ジェネティクス北海道を発端にした道と農業団体のいがみ合いは、他の農業関連関与団体にも飛び火しかねない火だねを抱えている。
北海道農業の司令塔とも言われている北海道農業協同組合中央会の飛田稔章会長は、道の関与団体から道のOBや道出向職員の総引き揚げさえ求めているという。
道と農業団体の一枚岩の関係が崩れかねない危機のとば口に立っている。
(写真はホクレンビル)

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