P1050552 札幌エムケイ(本社・札幌市)にタクシー運転手として働いていた元従業員22人が同社に未払賃金約2090万円の支払いを求めた賃金請求事件の第1回口頭弁論が11日、札幌地裁(本間健裕裁判長)で開かれた。被告側の札幌エムケイは争う姿勢を示した。札幌エムケイを巡っては元運転手7人が昨年12月に提訴しており、今回の提訴と合わせ29人が同社を相手取って未払賃金を請求する異例の事態になった。(写真は、札幌市中央区の札幌地裁が入っている建物)
 
 京都に本部を置くエムケイは、「低料金と良質なサービス」をセールスポイントに全国各地に進出しており、札幌エムケイは2009年4月から札幌交通圏でタクシー40台を使って営業を始めた。その後、増車を重ね現在は100台、従業員も200人を超えている。
 
 今回、先行する元運転手7人の賃金不払い訴訟に続き提訴したのは勤務実績が7ヵ月から3年強の30~40歳代の元運転手22人。訴状によると、札幌エムケイは実際にタクシーが走行している時間を労働時間として定め、送迎客の待ち時間や入庫してからの洗車や点検業務、入金作業など業務に関わる時間を労働時間に参入せず給与に反映していないため勤務実態と給与に差額が生じていると指摘。原告22人は毎日1~2時間、こうした業務に就いていた不払い分が毎月5万円以上に及ぶとして平均1人当たり120万円、総額2090万円の不払い分を請求することにしたもの。
 
 提訴した元運転手の1人は、「車に取り付けられているPOSシステムで10分以上停車した場合は自動的に労働時間から除外されていたが、無線からの呼び出しで予約客が予定時間に来ないことの方が多かった。また、空港やゴルフ場に迎えに行っても1時間程度、予約客が遅れることはザラだった」と言う。さらに、洗車作業やライトチェック等検車作業、チケット等の確認を行ったり売上げを入金する時間も勤務時間に組み込まれていなかったという。
 
 無線配車の待機の場合に10分以上の停車を労働時間にとしなかったことについて、大阪エムケイで争われた裁判で大阪地裁は労度時間と認める判決を出している。
 
 エムケイの給与体系は、売上げから社会保険料や燃料代、制服貸与代など一切の経費を差し引いた残金を給与とするいわゆる“エムケイシステム”として知られている。ただ、この中身については詳細が明らかになっておらず、今回の提訴を通じて元運転手らはこの給与システムの不当性も訴えていく考え。
 
 いずれにしても札幌エムケイは、先行する7人と今回の22人を合わせると原告は29人にも及び、現社員の1割以上に及ぶ元運転手が提訴するという異例の展開になっている。なお、次回は17日午後4時から訴訟進行を裁判長、原告、被告で調整する非公開の弁論準備が予定されている。


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