JR北海道の新社長に野島誠専務鉄道事業本部長(56)が昇格、小池明夫社長(66)は代表権のある会長に就くトップ人事が21日の政府閣議で了承された。6月21日の同社株主総会後の取締役会で正式就任する。国鉄分割民営化以降、野島氏は6番目の社長になる。野島新体制の下、柿沼博彦会長(69)の処遇や役員の昇格人事が注目される。(写真は、野島誠専務)
 
 2011年5月に石勝線特急脱線炎上事故の対応で心労が重なり、当時社長だった中島尚俊氏が4ヵ月後に自殺したことにより、JR北海道の社長人事は揺れた。当時の柿沼副社長や栗原進専務の昇格人事も考えられたが、結局同年11月になって会長を務めていた小池氏が社長に復帰、非常時の陣頭指揮を執ることになった。小池氏は、中島氏と国鉄同期入社で03年から07年まで4年間社長を務め、中島氏にバトンを渡し会長職だった。
 
 ただ、あくまで小池社長は暫定人事とされ安全運行体制が整備された時点でのトップ交代は既定路線だった。
 
 野島氏は、56年11月生まれ、神奈川県出身。東大工学部土木工学科卒後、79年に国鉄入り。新潟鉄道管理局長岡保線区長を経て国鉄分割民営化時にJR北海道に転じた。工務部、総合企画本部、財務部を経て07年取締役財務部長、10年常務総合企画本部長、12年5月鉄道事業本部長、同年6月専務に就いていた。
 
 分割民営化以降、JR北海道の社長は、大森義弘氏→坂本眞一氏→小池氏→中島氏→小池氏と続き、野島氏は5人目で6番目となる。
 
 野島氏の正式就任は6月21日だが、野島新体制の布陣も注目される。中でも柿沼会長は技術職のトップとして内外から信頼が厚く、3年以内に迫った北海道新幹線開業や札幌延伸工事、さらに柿沼氏自身も開発に携わったDMV(デュアル・モード・ビーグル)の実用化なども控えているため、坂本氏同様に相談役に就く可能性が高い。また、栗原専務の去就も焦点になりそう。
 
 JR北海道は、鉄道安定基金の運用収益減や鉄道収入の赤字で資金難が続き、車両更新や線路整備が万全に進んでいない。車両事故の多発は資金不足も一因。江差線に続きさらなる鉄路廃止も避けられないだけに、野島新社長の進路には茨の路が続いている。



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