新千歳空港が、航空機の発着回数が多い混雑空港の「レベル2」に引き上げられることに伴って、代替空港として札幌市内にある丘珠空港が注目されている。ただ、丘珠空港は現状ではプロペラ機のみしか使えないため、ジェット便が発着できるような利用環境の改善が早期に求められる。(写真は、混雑空港「レベル2」に引き上げられる新千歳空港)
 
 混雑空港の度合いを示すレベルは3段階あり、国際航空運送協会(IATA)が空港の混雑度合いを示す指標として指定している。新千歳空港は、新規就航などによって便数が増えたことで、これまでの「レベル1」から国際線発着調整事務局による発着枠調整が必要になる「レベル2」に引き上げられ、2013年3月末からの夏スケジュールから適用される、
 
 新千歳空港は年間利用客が2600万人まで対応できる施設として整備されたが、機材のダウンサイジングが航空業界のトレンドで利用客はそれほど増えなくても発着回数は増えていく傾向にある。LCCは、発着回数を増やすことでローコスト経営を実現しており、新千歳空港を利用するLCCは今後も増え続けるものとみられる。
 
「レベル2」に格上げされることに伴って季節や時間帯によっては発着調整ができない場合も出てくるため、代替空港のニーズは高まりそうで、その有力候補として丘珠空港が注目されている。
 
 現状の丘珠空港は、1500mの滑走路1本でプロペラ機のみしか利用できない。ジェット機の乗り入れには、周辺住民の理解を得る行政努力が必要になることや滑走路の強度を高める補強工事も必要になる。
 
 ただ、季節運航便やチャーター便のように臨時的な利用には滑走路強度を高めなくても利用できるとされており、代替空港としてジェット機乗り入れを実現するには札幌市が周辺住民の同意を得る努力をすることが最優先になりそう。かつては騒音問題や新千歳空港との使い分けで丘珠ジェット化は進まなかったが、最新機材はプロペラ機よりも騒音の少ないものもあり、ジェット化が議論された10数年前とは前提条件が大きく異なっている。
 
 新千歳空港が「レベル2」指定されたことで、丘珠空港が都心に近い代替空港としてその価値が改めて見直されることになりそうだが、その鍵はジェット機が乗り入れできる利用環境の改善になることは間違いない。
 
 なお他の「レベル2」空港は、関西空港、中部空港、福岡空港で最も混雑度合いの激しい「レベル3」は、成田空港と羽田空港。


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