順調に預金が積み上がる一方で、経済低迷を反映して貸出金が伸びていかない信用金庫業界。北海道の23信用金庫の9月中間仮決算速報はこのトレンドを如実に示したが、そんな中で貸出金を前年中期期に比べて10%も伸ばしたのが渡島信金(本店・森町)。(写真は、渡島信金札幌支店)
 

 渡島信金の9月末時点の財務指標は次の通り。預金量は平均残高で1374億3600万円(前年同期比6・1%増)、貸出金887億1400万円(同10%増)。経常利益は2億3500万円(同50・6%増)、業務純益4億1900万円(同42・5%増)、当期純利益1億5700万円(60・2%増)で自己資本比率は前年中間期より0・34ポイント落として9・38%となった。
 
 道内23信金の中で、預金量の伸びと貸出金の伸びは群を抜く数値を示した。預金の伸びで渡島信金の次に来るのは遠軽信金(本店・遠軽町)の3・2%増、網走信金(本店・網走市)の3・1%増で渡島の伸びが大きいことがわかる。
 
 貸出金も他の信金が軒並み前年中間期より減っている中で、渡島の伸びは突出している。中でも日高信金(本店・浦河町)は8%、北門信金(本店・滝川市)も7・8%それぞれ減らしており、渡島は真逆の傾向。
 
 渡島の伸びを支えているのは札幌支店での融資拡大。中でも不動産向け融資が増えている模様で、今年5月に北海道フーズ輸送(本社・札幌市西区)が取得したホテルルートイン札幌駅前北口の取得費やLCグループ(本社・札幌市中央区)のリバティが9月に取得したすすきののユキアカリビルの取得費を融資している。
 
 ホテルルートイン札幌駅前北口には約7億円、ユキアカリビルには8億5000万円の抵当権が渡島信金によって設定されている。
 
 道内23信金の預貸率(集めた預金のうち貸出を回している比率)は、44・34%と50%を割り込んでいるが、渡島は64・54%と高水準。中小企業金融円滑化法の来年3月末期限切れを前に各信金の融資姿勢が慎重になっている中で、渡島の積極姿勢がくっきり目立つ9月中間仮決算になった。


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