北海道銀行は25日、道内の信用金庫、信用組合の理事長らを招いた「第7回地域金融セミナー」を京王プラザホテル札幌で開催した。信金、信組理事長ら約40人のほか北海道財務局長や日銀札幌支店長、道庁関係者と道銀役員、支店長など合わせて130人あまりが出席した。セミナーでは、東日本大震災の被災地から東邦銀行の北村清士頭取が「東日本大震災を経験して」と題して講演、事業継続計画(BCP)の重要性を訴えた。(写真左は挨拶する堰八義博道銀頭取、右は講演する東邦銀行北村清士頭取)

 

 道銀の地域金融セミナーは、道内各地域で金融業務を展開する信金や信組との協調体制を確保して、一体感を醸成していくのが目的。年に1回の開催だが数年前には2回開催したこともあるため今年が6年目となる。

 
 冒頭に挨拶に立った堰八義博頭取は、信金、信組との連携の場面が多く出てきたことを紹介し、セミナーの成果が表れていることを訴えたうえで、来年3月末に期限が到来する中小企業金融円滑化法についてこう語った。

 
「円滑化法対象企業に悪影響がでないような施策として“出口戦略”という言葉が使われている。私は、この出口戦略という言葉は大嫌い。出口戦略というなら入り口は誰が作ったんだと。法律があろうとなかろうと私たちは地域経済と一心同体。いつの時代でもお客様と悩み、苦労しながらともに成長してきた歴史がある。この法律があろうとなかろうときちんと地域にコミットしていくのは、当たり前の話。ただ、そうは言ってもお客様にも努力していただくのも当然必要。出口戦略というのは、お互いに知恵を出して円滑化法が切れた後に対応していくことだと私は理解している」

 
 金融円滑化法は、融資回収に走る金融機関の独走を止め、融資金融機関の足並みを法的に揃えることでは大きな成果がある。円滑化法が切れることによって回収を優先する金融機関があれば、融資先企業は一気に苦境に陥る。円滑化法切れ以降で最も大切なのは、こうした協調体制を継続できるかにかかっており、信金、信組との一体感を形作ろうとしてきたこのセミナーは、当局が官制用語として使う出口戦略を先取りしてきたとも言えそう。

 
 セミナーでは、地震、津波、原発事故を受けた福島県地盤の東邦銀行北村頭取が講演、「震災前に私たちがもっていたBCPプランが役に立たないことが良くわかった。そのまま手をこまぬいているわけにはいかないので、それを踏まえて新たなBCPプランが間もなく出来上がる。ほとんどが失敗と反省。また、こうやればよかった、ああやればよかったというものをメモ書きにしていたが、それらを集大成したものも作った」とし、参加者全員に『東日本大震災の総括』(A4判52P)、営業店や個人の声をまとめた『東日本大震災の記憶~現場からの声~』(A4判134P)が配布された。



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