北洋銀行は20日、北洋大通センター4階のセミナーホールで市民を対象にした医療セミナーを開催した。北洋銀と北海道大学の包括連携事業の一環として2011年度から始まったもので5回シリーズの最終回。同行の医療総合アドバイザーを務める浅香正博北大教授が「胃がんと大腸がんの予防」をテーマに講演した。参加者は約60人。
(写真は、講演する浅香正博教授)
 
 浅香氏は、北大大学院医学研究科がん予防内科学講座特任教授。北大病院長も歴任しており、ヘリコバクター・ピロリ菌と胃がんの関わりを研究してきた第一人者。がん患者は増加しているが、増加の原因解明やがんの予防について研究している大学の講座は全国的にも北大のみ。
 
 浅香氏は、「がんは老化現象の一つで、世界一の長寿国になった日本はがんが普通の病気になっている。がんによって年間30万人が亡くなっているが、男性の2人に1人、女性は3人に1人ががんにかかる。12年にはがん患者数は230万人になると予測されており、そのうちの70%が65歳以上の高齢者で占められている」と高齢化社会では、がんが今や当たり前の病気になった現状を紹介。
 
 続いて、「長生きするほどがんになりやすくなるのは、遺伝子の異常が起こりやすくなるため。人の体は60兆個の細胞でできているが、毎日1%の6000億個が死んで細胞分裂でそれを毎日補充している。DNAは完璧にコピーしなければならないが、コピーミスが稀に生じる。突然変異と呼ばれるものでその細胞は死なない。それががん。コピーミスは、喫煙、アルコール、老化によってリスクが高まる」と訴えた。
 
 09年の統計によると、がんの種類で多い順は、男性は「肺がん」「胃がん」「大腸がん」で、女性は「大腸がん」「肺がん」「胃がん」だという。
 
 がんの原因は、煙草、アルコール、肥満などを含めた生活習慣由来が60%でピロリ菌など感染症由来が25%を占めていると指摘。「感染症由来のがんは米国では10%、欧州では6%と少なく感染源を遮断することで予防することができる」と述べた。
 
 11年度の北洋銀と北大による市民医療セミナーは今回で終了するが、12年度も同様のセミナーを年8回開催する予定。


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