道内23信用金庫の2011年9月中間仮決算が明らかになったが、唯一赤字になった日高信金を参考に今後下期にかけて各信金は貸倒引当金を厚めに積むことになりそうだ。日高信金は要注意先の債務者区分だった養豚業2社が民事再生法を申請したため、赤字に転落。各金庫は、融資先企業の倒産に備えて要注意先であっても担保でカバーされていない部分の引当積み増しを行うことになりそうで下期の収益を圧迫しそうだ。(写真は道信用金庫協会が入っている札幌市内の信金中央金庫ビル)
 
 日高信金の赤字は要注意先の債務者区分だった養豚業2社の民事再生申請に伴うもの。養豚業は担保を設定しづらく、要注意先であったため引当も少なかったことが響いて7億1700万円の赤字になった。
 
 金融円滑化法によって貸し出し条件が緩和され、実態上は要管理先でも要注意先の状態で債務者区分されているケースも多いと見られている。
 
 要管理先と要注意先では引当によるカバー率が違うため、要注意先が前触れなく倒産すると収益にまるまる影響する。要管理先ならカバー率が高めのため倒産による影響をある程度食い止めることができる。
 
 このため各金庫は、日高信金の赤字を他山の石として、今後下期にかけて要注意先の債務者区分にランクされている融資先であっても自己査定を見直して引当金を厚めに確保することになりそうだ。
 
 道内23金庫の9月中間仮決算は、全金庫が本業の業務収益でマイナスになった。各金庫ともに貸出金利息収入の減少と銀行などからの金利攻勢による融資先の喪失などが響いている。純利益ベースで見ると、減益だった信金は赤字だった日高を含めて15信金にも及んでいる。
 
 信金業界は収益のウエートが下期の方が高いため、上期と同様の収益構造が続く訳ではないが、貸出先の減少や貸出金利息収入は減少傾向が続くと見られ、引当金を厚めにつむことも重なって通期でも減益の信金は前期よりも増えそうだ。


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