北洋銀行(本店・札幌市中央区)は、医療機関関係者を対象に『診療報酬・介護報酬ダブル改定を踏まえた医療機関の対応』をテーマにした医療セミナーを19日に開催した。会場となった北洋大通センター4階のセミナーホールには約130人が集まった。IMG_0536(写真は、北洋セミナーホールで開催された医療機関向けセミナー)

 最初に講演したのは、有限責任監査法人トーマツ丸の内オフィスアドバイザリー事業本部ヘルスケアアドバイザリーの上村明廣シニアマネジャー(公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会認定登録医業経営コンサルタント)。上村氏は、医療機関を取り巻く環境変化と診療報酬改定、ダブル改定を見据えた医療機能別の対応について話し、「平成30年度を含む今後の診療報酬改定のキーワードは、診療実績。医療職が充実していても、実績評価が得られない場合は診療報酬評価も低くなると想定される」と述べた。

 また、「診療報酬改定や地域の医療受給バランスの変動、政策動向を見据え、常に変化、改善していくことが病院には求められる」として、改善の文化を醸成していくために職員一人ひとりの経営マインド、職員を牽引するリーダーシップが必要とした。

 続いて、同じヘルスケアアドバイザリー部門の植村亮氏が医療機関の課題や平成30年度診療報酬改定の状況、各機能病院の対応について講演した。植村氏は、「医療機関は、病床運営、診療体制、給与体系、人員配置、マネジメントにそれぞれ課題を抱えている。これまでの組織では今後の診療報酬体系には対応できないため、各医療機関は新しい医療提供体制に合わせた組織強化を行う必要がある」と語った。

 医療費は経済成長とシンクロナイズしているため、平成30年度の診療報酬プラス改定はここ数年の経済の改善を反映したものだが、「財務省のマイナス改定に対する強い意向があったため、我々も本体部分はマイナス改定だと思っていた」(植村氏)。結果的に、医師会の働きなどによってプラス改定になった経緯も説明した。

 植村氏は「医療機関の自己改革は必須だが、急進的に改革すれば失敗も必至。診療報酬や補助金等を財源として、2025年を見据えた組織づくりができた医療機関だけが、今後も成長していくと考えられる」と結んだ。



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