北洋銀行(本店・札幌市中央区)は21日、新頭取に安田光春常務(58)が昇格、新副頭取に迫田敏高常務(61)が就くトップ人事を発表した。石井純二頭取(66)は会長に、横内龍三会長(73)は顧問、柴田龍副頭取(60)は副会長にそれぞれ就任する。いずれも2018年4月1日付。安田光春氏(写真は、北洋銀行の新頭取に就任する安田光春常務)
迫田敏高氏(写真は、副頭取に就任する迫田敏高常務)

 北洋銀は今年8月に創立100周年を迎え、石井頭取の下で新中期経営計画「共創」を策定、今年度から実行している。ポスト100周年に向けた第一歩となる2018年を新体制で迎えたいという石井頭取の強い思いから経営体制を一新することになった。

 12月下旬というこの年末繁忙期のタイミングで発表したのは、4月の新年度から新頭取の執行体制でスタートするため。一般的に、3月期決算企業の発表時期の5月に人事が発表され、株主総会が開かれる6月から新トップが就任するケースが多い。
 しかし、これでは新年度からのロケットスタートに支障が出るとして北洋銀は、石井頭取が就任した2012年から4月に新トップが就任する体制に変わり、今回のトップ交代もそれを踏襲する。ちなみに石井氏が頭取に就任するトップ人事の発表は、2012年1月に入ってからだった。

 踏襲したのは頭取在任期間もそうだ。高向巖氏、横内氏の歴代頭取はいずれも6年間在籍して後任に託したが、石井頭取も6年間で頭取を退くことになった。

 新頭取になる安田氏(1983年3月慶応大商学部卒)は、4人いる常務の末席で旧北洋銀出身。行内の人物評は「明るくて頭が切れる。馬力があってバランスも良い」。総合力を評価されてのトップ就任だ。安田氏と札幌北高同窓の札幌市幹部は、「気さくで奢ることのない人物」と評している。

 北洋銀の頭取は、4代前の大塚武社長(当時は北洋相互銀行)から日本銀行出身者が務めてきたが、旧北海道拓殖銀行出身の石井頭取の誕生で日銀の流れが止まり、今回の旧北洋出身、安田氏の頭取就任で旧拓銀の流れも止まった。北洋銀は、旧北洋、旧拓銀、旧札幌銀行の3行の寄り合い所帯だが、安田氏の頭取就任で人物本位、能力本位のトップ選びが定着することになりそう。

 安田新頭取を支える副頭取に就任するのは、迫田常務(80年3月早稲田大政治経済学部卒)。日銀政策委員会室秘書役から13年6月に北洋銀常務執行役員に就任、14年6月に常務執行役員国際部長、15年6月から常務取締役を務めている。
 北洋銀は、代表権者3人体制が続いたが、会長に退く石井頭取、副会長に就く柴田副頭取は代表権を持たず、安田新頭取、迫田新副頭取が代表権を持つ2人体制になる。

 これまでの頭取を見ると、「明るく行動力を持つ」高向氏、「静かなる情熱を持つ」横内氏、「冷静な判断力を持つ」石井氏というようにそれぞれの時代に相応しいトップが采配を振るってきた。銀行経営冬の時代といわれる中で、安田氏はどんなカラーを打ち出すだろうか。
 


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