北洋銀行(本部・札幌市中央区)は14日、医療経営セミナーを札幌市中央区の北洋大通センター4階セミナーホールで開催した。テーマは『平成30年度診療・介護報酬ダブル改定の動向と医療法改正への対応策』で講師は東日本税理士法人所長の長(おさ)英一郎氏。道内の医療介護関係者約100人が参加した。IMG_5141 (2)(写真は、講演する長英一郎氏)

 長氏は、まず平成30年の介護報酬改定について言及、「点数を下げるターゲットになっているのは、デイサービスと生活援助を伴う訪問介護。国はお世話型の介護は利用者のためになっていないとして自立支援型の方向にシフトしている」と話し、30年改定はそれがより鮮明になってくることを示した。介護事業者にとっては介護保険外の収入をどう高めていくかが一つの課題になるとした。

 次の平成33年介報酬改定では確実に入ってくるアウトカム評価が、30年の改定でも少し顔を出してくるとして、「介護のアウトカム評価は『心身機能』、『活動』、『参加』、『主体性』の4項目になるだろう。これからは要介護度を引き下げることが求められるようになる」と語った。

 平成30年の診療報酬改定の大きな課題はベッド数が減らされることで、「北海道で多い療養型病床が特に減らされる対象になる。患者の行き場がなくなってくる」と述べた。療養病床再編の流れはより強まってくるとして再編方法の一つである地域医療連携推進法人に触れ、「地元の医師会との関係で流れるケースが出ている。岡山大学病院や鹿児島県の社会医療法人博愛会相良病院と医療法人真栄会にいむら病院が断念したほか、北海道でもカレスと北海道医療大が断念した」と課題が多いことを指摘。

 そのうえで、北海道は奄美大島南部の町村で設立された地域医療連携推進法人が参考になると話した。奄美大島で同法人が設立されたのは、①医師、看護師の確保のため②医療機器の共同利用③看護師の共同研修――が主な理由だが、ネックになっているのが義務付けられている公認会計士による監査のコスト。年間300万円かかるため頭を痛めている現状を紹介した。
 長氏はそのほか急性期病院の業績が悪化していること、介護職人材の確保に高校生への社会保障教育の必要性なども話していた。



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