道内23信用金庫で組織する一般社団法人北海道信用金庫協会(略称・北信協)の会長に6月16日付けで増田雅俊・稚内信金理事長(62)が就任した。杉山信治会長(旭川信金元理事長、元会長で現非常勤理事顧問)が2期4年で退任したことを受けたもので、業界の発展や地位向上に取り組むことになる。地域経済のインフラ機能を発揮してきた信金は地方創生が叫ばれる昨今、ますますその役割が高まっている。増田新会長に抱負や信金の将来方向などについてインタビューした。
IMG_6012《ますだ・まさとし》1953年11月、宗谷郡猿払村生まれ。72年3月稚内高校卒、78年3月北海道大学法学部卒、同年4月稚内信金入庫。2001年常勤理事業務推進部長、04年6月常務理事総務部長、06年6月理事長。12年6月から北信協副会長を務めた。主な公職は、稚内商工会議所常議員(三号議員)、北海道旭川方面公安委員会委員など。

 ――稚内信金の井須孝誠(いす・こうせい)理事長が1995年5月から2000年6月まで北信協会長を務めていますが、同信金理事長の北信協会長就任はそれ以来16年ぶりになりますね。最初に抱負を聞かせてください。
 
 増田 杉山信治前会長(2012年6月~16年6月)の(旭川信金元会長)路線を踏襲します。北信協は、一般社団法人ですので個々の経営問題に立ち入ることはありませんし、個別金庫の利益を追求するための協会でもありません。勘定システムの共同化を図っていったように業界共通の利益になるようなことは協会が中心になってやっていきたいと思います。
 
 ――新会長として何を手掛けたいですか。
 
 増田 信金業界としての存在意義や方向性を統一した広報を通じて実施し、業界のプレゼンス向上を実現していきたい。よく思うのですが、各金庫がリリースした発表は新聞などを通じて報道されますが、23信金のある地域にしか発信されないケースがあります。地元の人たちは地域の信金のことはよく知っていますから、それ以外の地域の人たちにそれぞれ金庫が行っている事業を情報発信して地域の枠を超えた全道に周知されるような広報を行っていきたい。
 
 ――信金は地域に根差した金融機関として存在感はますます高まっていますね。
 
 増田 金融機関を比べるのに、預金の量や貸出金の量、それに自己資本比率など財務データに基づくことがあります。それはそれで正しいので否定はしませんが、それだけで金融機関を評価するのは不十分だと思います。23信金は、規模も財務内容も違いますが、共通しているのは本店所在地の地元では圧倒的な存在感があるということです。
 道内それぞれの地域のお客様にとって、なくなったら困る金融機関は信金なのです。地元のお客様から見た必要度は23金庫等しく一緒です。よって道内信金の評価は等しく高くすべきだと考えています。
 
 ――まさに地域経済のインフラと言っても良い存在ですね。
 
 増田 地域で一番必要な金融機関として持続できるかが我々に問われています。どんなに大きくなって財務の中身が良くなっても、地域で二番手になってしまうと、なくなったとしてもお客様はそんなに困らない。常に良い意味でのナンバーワンの座を保たなければいけない。もっともそれを決めるのはお客様。お客様の視点に立った地域一番の金融機関を目指し続けなければいけません。
 
 ――マイナス金利政策で金融機関の経営環境は厳しいですね。
 
 増田 金融環境はいつでも楽な時などありません。日銀が異次元緩和を始めて3年になりますが、今のところデフレ脱却などの成果は出ていません。そして、その弊害を一番受けているのは金融機関。金融機関は、自分たちの経営がおかしくなっては元も子もないので防衛本能が働き、金融引き締めと同じ効果が出てくるのではないかと危惧しています。
 利ザヤが縮小しているのでそんなに簡単に利益は出ませんが、そんな金融環境を言い訳にしてはいけない。その環境に合わせられなかった自分たちが悪いと考えなければいけないのは当然です。
 

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