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 北洋銀行は4日、道内信用金庫の理事長らを招いた「第5回道内信用金庫トップセミナー」を札幌市中央区のすみれホテルで開いた。信金理事長のほか行政の金融関係者ら約50人が参加した。北洋銀と道内信金は金利競争を繰り広げているが、この日は一時休戦といった趣だった。(写真はセミナーで講演する浦澤英史北洋銀行国際部部長)


 ただ、このセミナーを機に金利競争が収まるかどうかは不透明だ。
 セミナーでは、北洋銀の国際部部長の浦澤英史氏が「最近の中国ビジネス事情について」、道の荒川裕生氏が「地域と連携した北海道の取り組み~経済を中心にして~」をテーマにそれぞれ40分間ずつ講演した。
 浦澤部長は、昨年9月に上海でものづくり商談会を行ったことを振り返り、「尖閣諸島問題の真っ只中で不安だったが大盛況だった。すぐ近くには日本の領事館もあったが、何事もなく、これが現在の中国の姿なのかと改めて感じた」と述べた。また、中国ビジネスの拡大を通じて北海道経済の活性化を目指したいとして、各信金に北洋の持つ機能を活用して欲しいと訴えていた。
 荒川氏は、昨年の支庁制度改革を通じて地域により近いところで経済政策を実践していること紹介したほか、黒竜江省との提携が25周年を迎え観光開発や農業、ハイテクなど北海道と同じ方向で成長を求めていることから協力関係を深めていくことに言及した。
 その後に行われた懇親会では、北洋首脳と信金理事長らの談笑の輪が広がったが、信金の中には昨年当たりから北洋の金利攻勢に晒されているところもあって、談笑の裏には腹の探りあいといったシーンもあった。
 北海道信用金庫協会の北村信人会長(大地みらい信金会長)は北洋の横内龍三頭取に、「信金は、中小企業向け融資を通じて地域の再生を果たすために、中小企業診断士を23金庫全体で65人以上抱えている。地域に根を張る中小企業の創業支援や経営相談などのコンサルタント機能の強化に力を入れている。しかし、大きい銀行の金利面だけを追求した融資が目立つようになっている。融資を通じて企業を育てる視点を忘れないで欲しい」と伝えたという。
 北洋銀の低金利攻勢が目立つのは、昨年夏以降に日銀の成長支援貸出制度を導入して以降。中には、リスクテイクに必要な金利さえも確保していないような融資があるという。「北洋の0・8%の金利というのは良く聞くが、0・6%の超低金利も出ているようだ」(信金関係者)
 この日集まった信金理事長は例年通りの数だった。道信金協会の北村会長と北洋銀横内頭取との対話が、金利競争にどう波及するのか、他の理事長も注目している。


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