北海道大学と北洋銀行の包括連携協定に基づくシンポジウム『札幌観光を再考する~「住むように訪れる」の実現に向けて~』が22日、札幌市中央区の札幌グランドホテルで開催された。人口減少時代に入る一方でインバウンドの増加、ライフスタイルの変化など観光には新たな視点が必要という問題提起のシンポジウムで、行政や観光関連事業者など約100人が参加した。IMG_2796(写真は、『札幌の“るるぶ”再考』をテーマに行われたパネルディスカッション)

 基調講演は、前北大観光学高等研究センター長で北海道博物館館長、北洋銀地域産業支援部顧問の石森秀三氏と現北大同センター長の西山徳明教授による新旧顔合わせのデュアル版で行われた。『サッポロ・アズ・ナンバーワン:住むように訪れる札幌』をテーマに、石森氏は「人口増加の人口ボーナス時代から人口減少で市場が縮小する人口オーナス時代に入り、北海道・札幌はそのモデル地域になるべき。9・11や3・11によって自分の生き方を変えようとする人が増えている。北海道はライフスタイル・イノベーションが可能な地域」と訴えた。そのうえで、「札幌は観光資源としてのライフスタイルが希求できるライフスタイル・ツーリズムの先進地になれる」と述べた。
 
 西山教授は、観光は地域で創造していく視点が必要という立場から、「観光業は民間の一部門ではなく、公益性のある総合施策として取り組むべき。例えば札幌観光の公益性を行政が宣言して民間が協力するようになれば、民間はとても動きやすくなるだろう」と話した。
 
 続いて、産官学金の参加で設置された「さっぽろ観光創造研究会」が市民の生活圏と観光客の観光圏を近づける取り組みとして昨年9月にタイムアウト社の協力の下で作成した『札幌でしかできない50のこと』について、その狙いと効果検証を札幌市観光文化局観光コンベンション部観光企画課の工藤奈津子氏とインサイトマーケティング・コミュニケーション室マーケティングプランナーの相沢直人氏がそれぞれ報告した。
 
 その後、『札幌の“るるぶ”再考』と題して、北大同センター特任准教授の石黒侑介氏をコーディネーター役に39ヵ国108都市12言語のグローバルネットワークでガイドマップを作成しているタイムアウト東京のコンテンツ・ディレクター東谷彰子氏、北海道日本ハムファイターズ事業統括本部事業企画部の佐藤拓氏をパネリストに討論した。
 東谷氏は、「今回作成した『札幌でしかできない50のこと』では掲載を拒絶されたが、札幌にはクラブが多いことに気付いた。それらがサブカルチャーを形成している。今後はクラブカルチャーの紹介もしていきたい」と話した。佐藤氏は、「ファイターズのフェイスブックには23万人の登録があり、そのうち8万人は陽選手の母国台湾の人たち。3月19日から台湾でもフェイスブック上で簡単にチケットが買えるサービスを始めた。国内外で野球を含むスポーツを観光に並ぶエンターテインメントに育てていきたい」と語った。
 

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