道内の7つの信用組合が統一して中小零細企業向け貸し出しに取り組んでいる。地域密着の協同組織金融機関として、信組としては異例の低金利で貸し出しするもので、景気低迷下の資金調達を支援する。業界が一体となって貸し出し拡大に取り組むのは珍しい。


 信用組合は、銀行―信用金庫に続く金融業態でマチの商店や中小零細企業にとっては身近な金融機関。金融危機が起きる10数年前には、道内に15の信用組合があったが、管轄が各都道府県から金融庁に移ったことによって、集中検査が実施されて破綻に至る信組が続出、現在は7信組と当時より半減している。
 道内7信組の総預金量は約6000億円と道内信金トップの旭川信金の預金量約7150億円よりも少ない規模。それでも、各地域に密着した金融機関として道内の産業基盤を毛細血管よろしく支えている、欠くことの出来ない存在だ。
 こうした信組が協同で取り組む貸し出しが『アシスト7』と呼ばれるもの。道の制度融資を利用したもので、金利は貸し出し期間3年以内で1・6%、5年以内1・8%、7年以内2・0%。信組の貸し出し金の約定金利は3%程度が一般的。無担保で個人なら原則保証人は不要で法人は代表者が保証人になる必要がある。
 融資対象は資本金1000万円以下または従業員20人(商業・サービス業は5人)以下の中小企業者。融資金額は5000万円以内となっている。道信用保証協会の保証つきになる。
『アシスト7』は、一昨年から取り扱いを始めているが、本来は昨年末で終了する予定だった。2年間で30億円の貸し出しを予定したが実績額は25億円。
 信組業界では、中小零細企業の低金利資金調達のニーズは根強いと見て、さらに1年間延長することにしたものだ。貸し出し額は20億円規模になるという。
 信組の貸し出し額は2005年から一貫して減少し続けている。05年3月末の貸し出し額は約4260億円だったが、一貫して減り続けている結果、直近の2010年11月末では3502億円になり、5年間で20%近く貸し出し額を減らしている。
『アシスト7』は、減少傾向を続ける信組の貸し出しに歯止めをかける狙いもある。
 道内7信組の預貸率(預金のうちどれだけ貸し出しに回しているかを示す比率)は、60%をやや切る水準で推移している。信金業界では50%を切るまでになっており、信組は協同組織の地域金融機関として『アシスト7』を牽引役として預貸率アップを目指していく考え。


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