札幌医科大学は28日、臨床教育研究棟1階講堂でリレー公開講座を開催した。北洋銀行と札医大の包括連携事業の一環で市民や札医大病院に入院している患者など約400人が参加、札医大の再生医療など最新の取り組みを熱心に聴いた。IMG_6980(挨拶する北洋銀行石井純二頭取)
IMG_6990(「どんな病気でもあきらめる必要はない」と語る札幌医科大学の島本和明理事長・学長)

 北洋銀と札医大は、2008年6月に包括連携協定を締結、具体的事業のひとつとして11年10月から15年3月まで3年半、AIR―Gエフエム北海道で『医の力~札医大最前線』を放送してきた。札医大の学部教授や病院診療科の医師などがキャスターとの対談形式で治療や最新医療について分かりやすく解説したもので、今回、14年度に放送した52編を冊子にまとめたことを記念してこのリレー講座が開催された。
 
 開会の挨拶で北洋銀の石井頭取は、「当行は企業の社会的責任(CSR)を果たす活動として医療福祉、環境保全、教育文化の3つのテーマを掲げている。医療福祉に関する具体的アクションとして札医大と包括連携協定を結び、道民の健康増進、地域医療の発展に尽くす取り組みをしている。その一環としてラジオ放送のスポンサーになり札医大や病院の先生方に多彩な医療の話題を提供してもらった。好評を得て、『医の力、札医大最前線』を小冊子で発刊することになったが、ラジオを聴かれた人以外の方にも是非読んでいただきたい」と話した。
 
 また、札医大の島本和明理事長・学長は、「1年分の放送が冊子になったが、絶対治らなかった病気が治るようになってきている。患者さんに僕はいつも『どんな厳しい病気でも決してあきらめる必要はない。寿命が勝つか、医学の進歩が勝つかだから頑張りましょう』と言っている。札医大が研究している日本、世界を代表する最新の取り組みを知っていただき『どんな病気だって治る可能性が十分にある』という気概で病気に向き合って欲しい」と語った。
 
 その後、『再生医療最前線』をテーマに解剖学第二講座の藤宮峯子教授が糖尿病による腎障害を治療するため、骨髄幹細胞を体外で培養して自己修復能力をパワーアップ、体内に戻す最新治療について説明したほか神経再生医療学部門の本望修教授は、骨髄幹細胞を使って脳梗塞による運動機能の麻痺や失語症を改善する神経再生について講演、「実用化まであと一歩のところにきている。脳梗塞以外のパーキンソン病や脊髄損傷などいろんな再生医療に応用できる可能性がある」と話した。
 また、整形外科学講座の山下敏彦教授・附属病院長は脊髄再生医療について話し、交通事故や労災で脊髄損傷、身体が動かなくなった患者が骨髄幹細胞の投与でみるみる回復していく姿をビデオで上映、会場内からは驚きの声も上がっていた。そのほか心臓病や脳の最先端手術、スポーツ医学の最前線も紹介された。



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