グローバルニッチトップ(GNT)な新技術・新商品の芽を発掘――北洋銀行が毎年実施しているものづくり中小企業への助成、北洋銀行ドリーム基金の助成先10社がこのほど決まった。ハイブリッドカーに使用されるパワー半導体のセラミック基盤や放射線を遮蔽する低価格容器など、どの技術も将来大きく花開きそうなポテンシャルを秘めたものばかり。5年先、10年先にこれらの技術・製品はどう進展しているだろうか。IMG_3728(写真は、北洋銀行ドリーム基金助成の贈呈式)
 
 北洋銀ドリーム基金(正式名称は公益財団法人北洋銀行中小企業新技術研究助成基金、理事長横内龍三北洋銀会長)。合併前の札幌銀行が1989年に相互銀行から第二地方銀行に転換したのを記念して設立した「札幌銀行ドリーム基金」が出発点。北洋銀と合併した2008年から名称を変えて継続されている。目的は、道内の中小企業の新技術、新製品の研究開発、量産化への助成。発足時から毎年助成しており、昨年から助成枠を最大10社まで倍に増やし1社最大100万円まで助成することになった。
 
 26回目となった2014年度助成への応募件数は72件。技術審査委員長を務めた西岡純二公益財団法人北海道科学技術総合振興センター(略称ノーステック財団)専務理事は、「新規性や技術の可能性、社会的な貢献度の観点から10社を選んだ」と言う。
 
 その10社の技術・製品を紹介すると、
▽(株)FJコンポジット(千歳市)「パワー半導体向けセラミック絶縁基板の開発」
▽清水勧業(株)(札幌市)「視認性に優れ手軽に設置可能な流れる発光コーンバーの開発」
▽(株)高田機械製作所(札幌市)「放射線を遮蔽する容器及び部材を低価格で量産できる技術の確立」
▽田尻機械工業(株)(札幌市)「馬鈴しょ緑化抑制用LED灯の開発」
▽(株)ティーピーパック(札幌市)「商品企画・パッケージデザイン開発サービス『パケナビ』の高度化」
▽(株)特殊衣料(札幌市)「新しい構造体の緩衝材の開発」
▽(株)ハイブリッジ(札幌市)「小型金属部品のナノ微細化による高硬度表面改質システムの開発」
▽プラント機工(株)(札幌市)「ハイブリッドSターンキルンの研究開発」
▽北海バネ(株)(小樽市)「地中熱ヒートポンプ用インテグラル型熱交換器の開発」
▽(株)三好製作所(室蘭市)「熱硬化性樹脂への光触媒コーティングにおける表面改質処理技術の開発」
 
 19日、ホテルオークラ札幌(札幌市中央区)で行われた助成金贈呈式で、FJコンポジットの津島栄樹代表取締役は、「私は札幌生まれですが静岡県で電子部品の放熱材料や炭素系複合材料の研究開発を行うベンチャーを創業しました。今回、助成対象になったのはハイブリッドカーのモーターとバッテリーの回転数を制御するパワー半導体向けセラミック基板の新接合技術。大きく飛躍できるように頑張りたい」と語った。同社はこの製品を量産化するため千歳市に新工場を完成させており4月から本社も移転して操業を始めることになっている。
 
 なお、北洋ドリーム基金の助成は、今回で累計121件、総額1億2100万円になった。この中から世界が注目するグローバルニットトップな中小企業がいくつ生まれてくるか、5年先、10年先に期待がかかる。


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