IMG_0069 札幌証券取引所の主催による第1回IPO(株式の新規公開)セミナーが16日、札証2階会議室で開催された。景気回復の追い風を活かして株式公開を目指す道内企業を発掘、上場を後押しするのが目的。証券関係者やベンチャーキャピタル、IT企業経営者など約40人が参加した。札証の小池善明理事長は、札証単独上場会社を5年で現在の15社から倍増させたい意向も示した。(写真は、挨拶する札証の小池善明理事長)
 
 証券市場の回復から、札証上場企業の時価総額も増加している。この1年間で札証本則市場に上場している企業の時価総額全体は20%、アンビシャスでは30%それぞれ増加した。安倍政権の成長戦略では医療、バイオ、農業、食など成長産業を重点育成する政策が整備されつつあり、こうした追い風を受けて道内企業にもIPOを目指す企業が増え始めた。
 
 札証は来年以降のIPOが年間3~5社になることを期待しており、上場に向けたセミナー開催を継続することで機運の高まりを広げる。今回はその1回目となるもので挨拶した小池善明理事長は、「道内で起業が盛んになり、IPOをどう実現していくかが課題。セミナーの継続開催で元気な企業の育成・発掘に結び付けたい」と語った。
 
 最初に講演したのは、札証上場推進部長の湯浅祐一郎氏でテーマは『アンビシャス市場の概要について』。アンビシャスの上場基準から時価総額基準を廃止したことや上場時の株主数も従来の200人以上から100人以上に緩和するなど上場のハードルを引き下げていることなどを説明、「今年は上場企業がなかったが、道内企業の(上場への)マインドは強くなっている。資金調達や信用、知名度を得るためには時間がかかるが、上場はこうした3要素を得る手段として有効。道内で上場しているのは44社でもっと増える可能性が高い」と述べた。
 
 続いて、岡三証券企業公開部長の小塚正樹氏が『IPOの最新状況と今後と見通し』をテーマに講演。小塚氏は、今年の全国上場企業数が54社で昨年から8社増え、1社当たりの資金調達額が昨年の平均14億円から28億円と倍増していることを報告、「金融庁はIPO育成のため財務諸表の提出期間を直近5年間から2年間に短縮、内部統制報告書の監査も上場後3年間は免除するなどIPO企業のコスト低減を図る法案を用意している。こうしたIPO環境の法整備が整う再来年以降は一気に上場する企業が増えるのではないか」と見通した。
 
 また、小塚氏は今年上場したユニークな企業として、東京マラソンなど大きな大会に参加する一般ランナーを写真で撮影しネット上でその写真を販売する『フォトクリエイト』(マザーズ上場)、ソーシャルメディアを含めたネット上の情報を収集し企業のリスク管理に役立ててもらう情報提供会社、『ホットリンク』(マザーズ上場)、ネット上でティーン向けファッションを製造小売りで販売する『夢展望』(マザーズ上場)などを紹介した。
 
 最後に講演したのは、電子カルテのCEホールディングス社長杉本惠昭氏。杉本氏は上場に至る経過や上場後の経営について語り、「電子カルテ導入の病院は、全国で20%を超えた。今後も伸びて行く市場だ」と業績拡大に弾みが付いている現状を報告した。
 
 札証では、2月3日と3月7日にもIPOセミナーを開催する予定。


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