札幌市の農業体験施設「さとらんど」に隣接する市有地に土屋ホールディングス(土屋HD)が建設していたメガソーラー発電施設が完成し、21日に運転開始のセレモニーを行われた。5万㎡の敷地内には太陽光パネルが多数並べられ出力は2メガ㍗、発電量は年間213万㌔㍗時。土屋HDは、積雪寒冷地で戸建住宅や事業所に太陽光発電を普及させるための実証事業と位置付け、札幌市は市内最大規模のソーラー施設として自然エネルギーの普及啓発に役立てる。(写真左は、土屋ソーラーファクトリー札幌の発電開始式でボタンを押す土屋昌三社長=左と上田文雄市長。写真右は、敷地内にびっしり並んだソーラーパネル)
 
 市は昨年6月、さとらんど隣接地を利用したメガソーラー設置事業者の公募を行い、数社の中から土屋HDが選ばれた。土屋HDはこれまで一般住宅向けの太陽光発電事業に取り組んできたが、メガソーラー施設を建設することで積雪寒冷地での大規模太陽光発電の問題点などを洗い出し、事業所や集合マンションなどにも需要の裾野を広げる、いわば「ショールーム」に位置付けたい狙いがある。
 
「土屋ソーラーファクトリー札幌」と命名された施設で21日に行われた運転開始セレモニーには関係者約50人が出席。土屋昌三土屋HD社長は、「地場住宅のトップランナーとして普及促進の実証をここで行い、市民、道民、事業所に向けた太陽光発電の設置維持に取り組んでいきたい」と語った。来賓として出席した上田文雄市長は、「この事業が成功して太陽光に取り組む事業者が増えてくることを願っている。また、『さとらんど』には年間65万人が訪れるが来場者がこの施設を見て太陽光発電を身近に体験して、取り組んでみようと思われることを期待したい」と挨拶した。
 
 敷地内に設置されているパネルは、昭和シェル石油グループのソーラーフロンティア社製。今回の施設用にパネル表面から雪が落ちやすい設計を取り入れ、可視光線以外に赤外エリアの光も吸収して発電できるようにしている。また、パネル角度は通常南向きに15~30度の角度だが40度の角度にし、架台の高さも通常50㌢だが1・5㍍と高くして積雪寒冷地に向くように工夫をしたという。縦1・3㍍、横1㍍のパネルが1万3300枚使用されており発電量は一般住宅約600戸分を賄えるという。
 
 土屋HDは、4月末に施設を見学できる「サンシャイン広場」を設置するほか啓発セミナーを継続的に実施し、第一弾として31日に太陽光発電事業セミナーを札幌グランドホテルで開催する。現在、札幌市内には今回の施設を含めて12メガ㍗の太陽光発電施設があるが、土屋ソーラーファクトリー札幌はその6分の1を占めることになる。



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