土屋ホールディングスの土屋公三会長(71)は11日、キャリアバンクを中核とするSATOグループのセミナーで『生きがい、やりがいを育てる』をテーマに講演、43年前に一人で創業し総合住宅メーカー、土屋グループを育てた実績を元にやる気の源泉や継続させるコツなどを約90分に亘って披瀝した。道内の成功経営者の一人として広く知られている土屋氏だが、約100人が集まったセミナーで講演するのは久しぶりだとし、「緊張して今日は朝2時半に目が覚めた」など心に響く語り方で、土屋式人生開眼術の一端を伝授した。(写真は、11日に行われたSATOグループセミナーで語る土屋公三氏)

 
 

  土屋氏がまず強調したのは、人は環境の動物であるということ。「人は学歴や性別、業種、職種の違いによって世の中を見ている。立場の違い、環境の違いでまるっきりそれが変わってくる」とし、土屋氏が世の中を見るベースは次の3つから生まれたと紹介。
 
「一つ目は高校を出て大手段ボール会社の労働組合札幌支部書記長を20歳のころに経験したこと。二つ目は農家の十一男だった父親の存在。昭和天皇の近衛兵だったことが自慢でそれが父親のプライドでもあった。頑固な父親は最後まで土屋ホームなど会社の株は一株も持たず役員にも入らなかった。そんな父親の価値観が私の中にも入っている。三つ目は40年前にお金で解決できない問題を抱えたこと。医学でも宗教でも解決できなかった。結局は、受け入れるしかないというところに行き着いた。自分で努力して解決できることは一生懸命にやるが、『どうしようもないことはどうしようもない』という人生感を持つにいたった」
 
 土屋氏は、22歳のころにその段ボール会社を辞めるのだが、裸一貫、アイデア商品を売り出そうとしたが全部失敗。2ヵ月間、毎日北海道神宮に通ったという。神頼みをしながらこれからの人生をどうしようかと考える毎日。マチで労働組合時代に知り合った人たちを見るとパッと隠れることもあったという。
 
「儲かる仕事はないかと絶えず考えていたら、自分なりに神の声を聴いたような気がした。姓は土屋、つまり土地と家屋、名は公三、個人、家庭、会社という三つの公のバランスを取ること。それで宅建取引主任者の資格取って損保の代理店にもなって昭和44年6月12日に一人で創業した」
 
 土屋氏は、人生の秘訣は5日目にあるとも語った。「私は3日坊主だとよく親からも怒られた。4日目になると予定外のことが起きたりいろんな原因でできない。大人になってもそうだった。それはある意味でやむを得ないが、5日目に元に戻れるかどうかが鍵だ。4日目にできなくても5日目に元に戻れる人は『継続は力なり』で続けていくことができる」
 
 創業したころに成功者を夢見ていた土屋氏は、どうしたら人生を切り開くことができるかに悩み書物を読み漁る。過去の成功者の書物を読んでいくうちに成功者には共通の資質があるのではと、自分なりに成功の十訓を考えたという。
 
「十訓のうちでもっとも大切なのは三つ。一つはモノの見方、考え方がプラス発想であること。真っ暗闇でも道筋を見つけられモノの見方が本質的、長期的、複眼的であること。二つは、20世紀最大の発見と私は思っているが、潜在意識を活発に使っている人。140億個の脳細胞のうち使われているのは7%と言われている。知識や知恵ではない残りの93%の脳細胞を活性化した人が成功している。三つは目標を持ってそれに向かってスイッチをオンにした人。夢を目標に落とし込み具体的に行動していくことが成功につながる」
 
 一人で創業し上場企業に育て上げた土屋氏の個人史は、そのまま会社の歴史に繋がる。その意味では個人の生き方が会社の来し方行く末に昇華した公の到達点とも言える。それをわかりやすく伝える土屋氏は経営者として稀有な存在。経営者として成功する秘訣の中には、多くの人を頷かせる説明能力も必要なようだ。