職業訓練法人キャリアバンク職業訓練協会(札幌市中央区、会長・佐藤良雄氏)は、中国青海省西寧市の公立看護学校「西寧衛生職業技術学校」と提携、同校の卒業生を介護分野の技能実習生として国内の介護施設で受け入れる事業を始める。まず、第一陣として社会医療法人孝仁会(釧路市)が13人を来年1月から受け入れる。リアルエコノミー写真3(写真は、西寧衛生職業技術学校の実習希望生との面接=キャリアバンク職業訓練協会提供)

 キャリアバンク職業訓練法人は、技能実習法による許可を得た監理団体として、外国人技能実習生を、これまで食品スーパーの惣菜製造などの分野で主としてミャンマーの実習生を受け入れてきた。昨年11月、新たに介護分野でも実習生の受け入れが認められるようになったため、中国から介護分野の実習生を国内の介護施設で受け入れる事業を始めることにした。

 西寧衛生職業技術学校は、3年制と4年制があり、学生数は約2600人。看護や漢方、薬剤、医療画像技術などの専門課程があるが、このうち看護分野の卒業生を対象に技能実習生として受け入れを促す。既に3月中旬に北海道、東京、福岡の社会福祉機関が参加して同看護学校を訪問、実習希望者との面接などを行った。

 この結果、まず13人が孝仁会の介護施設3ヵ所で実習を受けることが決まった。ただ、実習生は日本語検定4級試験に合格しなければならず、その後に外国人技能実習計画の認可を得る手続きが必要になるため具体的な実習が始まるのは来年1月からになりそう。実習期間は最長5年間。技能実習を終えて日本の介護福祉士資格を取得すれば在留資格を得て継続的に働くことも可能になる方針が打ち出されている。

 西寧の学校は、同職業訓練協会を通して毎年200人ほどの実習生を送り出すことにしており、同訓練協会では定期的に国内の社会福祉機関を集めて同校を訪問して全国の介護施設で実習生受け入れを促すことにしている。

 介護分野の実習生は現在、ベトナム、ミャンマー、インドネシアから多く申請されている。ただ、それらの国々では介護のニーズがそれほど高くないため、帰国後に日本で習得した技術を十分に活かせないのが実状。しかし、中国は日本に次いで高齢化社会を迎えるため、介護技術の習得は喫緊の課題。看護学校の卒業生が日本で実習を行い、帰国後に看護・介護分野の両面で高齢化社会を支えることになりそうだ。

 なお、キャリアバンク職業訓練協会は、プロポーザルで道庁の「外国介護人材受け入れ研修事業」を受注しており、函館市、旭川市、釧路市で各1回、札幌市で2回の計5回、研修事業を実施する予定で介護現場における外国人の受け入れ環境を整備していく。



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