電子カルテシステムなどを手がける医療系IT企業のシーエスアイが20日、株式を札幌証券取引所に重複上場した。同社は東証マザーズに上場しているが、道内にゆかりのある上場企業の重複上場を積極的に促している札証の活性化策に呼応し、道内株主の発掘やIR活動を強化することにした。札証は小池善明理事長が5月末に就任して以降、初の重複上場となる。(写真は、札証への有価証券上場通知書の交付式。杉本社長=右と小池理事長)
 
 シーエスアイは、96年に設立されたが、もともとは銀行業務のシステムエンジニアだった杉本惠昭(やすあき)社長が39歳で創業した企業がベースになっている。
 
 電子カルテシステムは98年から展開し北海道循環器病院ヘの納入をきっかけに急速に普及、現在は全国458ヵ所の病院で利用されている。
 
 資本金は11億3600万円で10年9月期は売上高390億200万円、経常利益1億2700万円、純利益1億3400万円。
 
 杉本社長は、「道内のマザーズ上場企業が、札証に重複上場するのは初めて。これがひとつのトリガーになって(他の道内マザーズ上場企業が)札証に重複上場し、北海道活性化に役立てば良い」と語った。

 同社の道内株式比率は8%程度で株主数は20数%という。
 
 杉本社長は、「東日本大震災でカルテを紛失した医療機関では薬の検索で苦労している。当社はNECやリコーに声をかけて、急遽医薬の検索システムを作り、医師会を通じて被災した医療機関に提供している。今後もこうした社会貢献をしていきたい」と言う。
 
 また、同社は今年でマザーズ上場10年の節目になるため「東証から上位市場への上場を促されている」として東証1部を狙う考え。「そうなれば、株式数や株主数も増やさなければならず、道内での取り引きも活発になるのでは」と話した。
 
 シーエスアイは、札証の小池理事長がスタートして初めての重複上場銘柄。小池理事長は、「重複上場は、昨年の4社に続いて5社目だが、札証の持つIR機能を使って道内の株主に向けたIR活動の充実を期待したい」と述べた。
 
 シーエスアイ杉本社長の実父は国鉄に勤務し、道内で初のバス路線である札幌の苗穂―手稲間の実現に尽力したメンバーの1人。札証への重複上場の準備は整っていたが、旧国鉄(JR北海道)出身の小池理事長の誕生のタイミングに合わせて重複上場日を決めたという。


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