北海道経済センタービルに入居する札幌商工会議所や北海道中小企業総合支援センターなど5機関で構成される札幌市中小企業支援機関ネットワークは18日、日本銀行札幌支店・小髙咲(こたか・しょう)支店長の講演会を札幌市中央区の北海道経済センタービル8階で開催した。中小企業経営者や支援機関の関係者約70人が参加した。IMG_3411(写真は、講演する小高咲・日銀札幌支店長)

 小髙氏は、札幌市出身で札幌北高から東大法学部卒。1986年に日銀入行、システム情報局業務システム開発課長、業務局参事役、文書局参事役などを経て2017年6月に日銀初の女性支店長として札幌支店長に就任した。

 講演テーマは、『2018年の北海道経済と生産性向上・労働市場改革について』。小髙氏は、全国の人手不足感よりも北海道の人手不足感が強いことを紹介、「3月調査の北海道の雇用人員判断指数(DI)は、マイナス38で先行きさらに逼迫してマイナス40と予測されている。有効求人倍率は1・14で全国に比べてまだゆとりがありそうなのに、人手不足感は全国よりも強い。その背景には、業種による求人のばらつきが大きいことが挙げられる」としたうえで、「ある人が言っていたことだが、北海道で有効求人倍率が1倍を超えたのは一昨年7月が史上初めて。それ以降、1倍以上が続いているが、バブル期でも1倍には達したことがなかった。道内企業や就職する側も有効求人倍率が1倍を超えている売り手市場の状態に馴染みがないため、人手不足感をより強く受け止めているのではないか」と分析した。

 人口減少化で経済発展が継続するためには労働生産性の向上が欠かせないが、小髙氏は事業承継に言及、「北海道は起業の数よりも黒字のままの廃業、解散する数が多いことが問題になっているが、企業の有用な経営資源が地域金融機関や行政のサポートを通じてスムーズに他の企業などに承継されていくことが望まれる。事業承継は、マクロ的に労働生産性を向上させる取り組みそのものではないか」と強調した。
 
 さらに女性活躍と労働生産性に触れ、「女性が働きやすい職場になるためには阻害要因である長時間労働の是正が必要。そのためには業務効率化による生産性の向上が不可欠。また、女性ならではの感性を生かした新製品やサービスの企画開発が進めば新たな需要を掘り起こせる。女性活躍社会は、働く人の数も増えて生産性も向上するので、“どんぴしゃり”に成長力強化に結び付く。まさに絵にかいたような美しいストーリー」と訴えた。

 ただ、女性有業率や共働き世帯比率など全国の女性活躍関連データを北海道のデータと比較すると、「北海道はどれも“イケていない”。“イケてなさ”をどう評価するか。それはまだ伸びしろがあるということに繋がる」と話していた。



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