札幌証券取引所は17日、有限責任監査法人トーマツと共同で「北海道IPOセミナー」を札証会議室で開催した。道内の未上場会社などから約40人が参加、IPO(新規株式公開)の資本政策や事業計画、法務準備などの講演が行われた。
(写真は、杉山氏=左と山関氏)
 

 全国のIPO社数は、ここ数年低迷しており、2005~6年に180社だったものが会社法の改正やJ―S0X(日本版内部統制法)よる上場コスト上昇、さらにリーマンショックが影響一昨年は19社に減少。昨年は22社、今年は40社程度がIPOを進めると見られていたが、東日本大震災の影響で25~30社にとどまると見られている。
 
 野村證券法人開発部次長の山関豊氏は、「IPOには波があって、今は一番上場会社数が少ない時期だが、潮目は変わってきた。東証マザーズが上場推進の営業部隊を26人体制にして、厳しく厳しくIPO会社を審査することから上場数を増やしていくように審査スピードを上げ、2ヵ月で(審査を)終えるようにした。潮目が変わってきた効果はすぐには出てこないが、来年、再来年にはゆっくりだがIPO社数が増えていくだろう」と述べ、IPOの拡大に期待を示した。
 
 また、「金融機関にはお金が余っている。資金がないわけではなく、融資してリターンがあるところには積極的に融資する姿勢だ。IPOによるメリットは優秀な人材を確保できることと金融機関からお金が借り易くなること」として、資本政策と事業計画がIPOの最も重要なポイントと指摘した。
 
 続いて「株式上場のための法務準備」について講演した赤れんが法律事務所の杉山央氏は、「私はベンチャー企業の設立から投資、M&Aについて専門に関わってきた弁護士」として、「現在、上場している会社が未上場会社を買収して鞍替え上場する仕事を進めている」と具体例を出し、IPOやM&Aには法務デューデリ(法務面での再査定)が欠かせないことを強調した。
 
 札証はトーマツと組んで「北海道IPOセミナー」を7月までに4回開催する計画で、今回はその2回目。最終回には上場企業の実体験を東証1部、札証上場のアインファーマシーズ・大谷喜一社長が講演する予定になっている。


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