日本経済新聞社札幌支社主催による『食の王国北海道 次の100年』と題したシンポジウムが28日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌で開催された。辻泰弘・道副知事や出口友洋・Wakka Japan社長、丸谷智保・セコマ社長、三國清三・オテル・ドゥ・ミクニオーナーシェフが『築け!食の王国 高付加価値化の条件』をテーマにパネルディスカッションを行い、全国平均より低い食の付加価値率向上のヒントを探った。P1090302(写真は、付加価値向上のヒントを探ったパネルディスカッション)

 辻氏は、付加価値率向上のキーワードとして『旬』を掲げ、「国内外のマーケットはそれぞれ違うので売れるものも違う。所得水準や戒律の違いなどきめ細かいマーケットへの感度が必要。そのうえで鮮度を保持した『旬』の食を提供することが大切」とした。また、ブランド作りには、「生産者と消費者が一緒にブランドを作る産消協同が必要だ」と道と農業界、経済界が一体になって取り組んだコメチェン運動の成功例を掲げた。
 
 丸谷氏は、『アフォーダブル プレミアム』を提唱、「アフォーダブルとは手が届くとか、手頃なという意味で、それに若干のプレミア感があれば海外でも売れる。2倍の価格ではなく1・2倍くらいなら現地の人たちも買ってくれ、その商品は長続きするだろう」と話した。また、戦略商品として乳製品、小豆、規格外品を挙げた。特に規格外品について、「生産の歩留まりを上げるために規格外品をいかにうまく利用するかが鍵。JAが全道単位で取り組めば付加価値はかなり上がるのではないか」と指摘した。

 出口氏は、『専門店化』を掲げた。「数年前まで海外の和食店は、和食なら何でも出す総合料理店が中心だったが、最近の傾向は天丼専門店、スープカレーの専門店というように専門店化が急速に進んでいる。当然求められるお米の品質なども違う。インバウンドが北海道で食べたお米を自国に戻ってからも食べたいというニーズもますます強くなるだろう。付加価値率向上には専門店化への対応が有効だ」と語った。

 三國氏は、付加価値向上のキーワードとして『食のストーリー化』を挙げ、食の価値をお客に伝えるストーリーがあれば付加価値に繋がると訴えた。そのうえで、「北海道の人が本気で北海道のことを好きになる“北海道愛”がベースになる。ウソはいけないが一のことを百で表現することも大切だ。そして人を喜ばせるホスピタリティをどう磨いていくかだ」と話していた。


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