伊藤組が所有する札幌市中央区北2西3の札幌ビルディングが、3月上旬にフコク生命に売却された。フコク生命は、札幌ビルディングに隣接する札幌フコク生命駅前通ビルを所有している。2つのビルと越山ビルを含む3者は以前から建て替えによる共同ビル構想がある。伊藤組が手放したことにより、建て替えに向けて準備が加速するものと見られる。(写真左のビルが伊藤組所有だった札幌ビルディング。中央は札幌フコク生命駅前通ビル、右は越山ビル)


札幌駅前通は、地下歩行空間の開通による賑わいが出てきたため、地場のビルオーナーなどの間では、ビル建て替え意欲が高まっている。
北2西3にある越山ビルと隣接する札幌フコク生命駅前通ビル、その東側にある札幌ビルディングの3者による共同ビル構想は、昨年から交渉が始まっていた。
駅前通に面したビルを建て替える場合、道路から2mセットバックし開通した地下歩行空間に接続口を設けて賑わいの用途に使うスペースを設ければ、容積率を250%プラスできる規制緩和策を札幌市は採用している。このため、最大で1050%まで容積率を上げることが可能だ。
越山ビルなど3者共同ビルに建て替えた場合、敷地面積は1650㎡になるため、容積率の上積みによって述べ床面積1万3000㎡のビルが建設できる。
12~13階の高さになりオフィスや物販・飲食の複合ビルが構想されていた。
しかし、札幌ビルディングを所有する伊藤組が昨年秋以降に交渉を中断、売却を模索する動きを見せるなど3者による共同ビル化は難航するという見方も出ていた。
結果的に伊藤組は札幌ビルディングをフコク生命に売却。このため、フコク生命と越山ビルの2社共同ビル化に向けて交渉が進展する環境が整った。
伊藤組がビルを売却したのは3月10日。売却価格は不明だが、6~7億円と見られる。伊藤組は伊藤組土建の子会社になっており、3月末の決算期を前に益出しを急いだようだ。
駅前通では、北2西4で三井不動産が今年の秋口ころから帝国ホテルをキーテナントにした札幌三井ビルを着工する予定。越山ビルとフコク生命の共同ビルも3~4年のレンジで新ビルを完成させるものと見られる。

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