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 札幌証券取引所は24日、札証に上場している会社の個人投資家向けIRセミナーを開催した。今年初めての開催とあって会場の札証2階は150人が詰め掛けて満杯。個人投資家の関心の高さを窺わせた。(写真は、個人投資家たちで埋まった会場)


 札証は市民に開かれた証取を目指しているが、個人投資家と札証の距離は着実に縮まっているようだ。
 札証は一昨年から個人投資家向けのIRセミナーを開催。昨年はほぼ2ヵ月に一度のペースで札証本則市場やアンビシャス市場に上場している会社の業績予想などが報告された。
 札証は昨年創立60周年を迎えたが、証取再編の中で札証の存在意義をどう打ち立てていくのか、重い課題を抱えている。
 株取引の裁量執行制度が2005年に導入されたことによって、例えば東証と札証の重複上場銘柄の場合、投資家が「札証で」と指定しなければ商いの多い東証での取引になってしまう。このため、札証の地位低下は避けられない情勢だ。
 個人投資家向けIRは、そんな危機感から生まれたもので、参加者も回を重ねるごとに増え、毎回70~80人の参加がある。
 今回は、いつもの倍以上の参加があった。その事情について、事情通はこう言う。
「1月から5年ものの個人向け国債の償還が始まり、全国的には1兆円ほどが個人に償還されている。また、ゆうちょ銀行の定額貯金も10年の満期を迎えた。リビア動乱による原油高で株安の懸念はあるものの、今年に入って株は堅調に推移しており、個人投資家の中には株への関心が高まっているからではないか」
 24日のセミナーでは、札証アンビシャスに上場しているデジタルコンテンツ制作会社のテラネッツと札証本則市場のキャリアバンク、日糧製パンがそれぞれ説明を行った。
 テラネッツの藤田一郎社長は、「当社の携帯電話向けアバターの制作が強いが、今後は伸びが著しいスマートフォンのイラスト系へ注力する。前期に第三者割り当て増資の資金を償却用に回したので、今期から減価償却が1000万円弱になり利益率をあげる効果がある」と述べ、3月25日に予定されている株主総会で社名を「クラウドゲート」に変更することも明らかにした。
 キャリアバンクの佐藤良雄社長は、「道庁と組んだジョブサロンの設置やインターンシップ制度の導入で就職支援を行っている。看護師や薬剤師、ドクターなどのメディカル分野での紹介も好調だ。11月中間決算は売上高が前年中間期比12・5%増、営業利益は251・8%の増加となった。今5月期は増収増益になる」と説明した。
 札証の関係者は、「この個人投資家向けIRセミナーは、参加された皆様とともに作り上げていく説明会。今後も積極的に開催していきたい」と語っていた。


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