対中ビジネスに変化が現れている。これまで中国で生産していた日本などの外国企業は中国の近隣諸国に急速な勢いで移っているという。中国情勢の変化は、北海道と中国とのビジネスにも当然変化を及ぼし始めている。


 中国の近隣諸国は土地が暴騰しているという。ミャンマーなどでは政府が造成した工業団地がほぼ満杯状態。これまで、中国の国内で生産していた世界各国の企業が、中国から脱出してそういう国々に移っているからだ。
 道内有力企業のCEO(最高経営責任者)は、「チェコやインドネシア、タイ、ミャンマーに中国から工場などが移っている。かなり激しい動きだ。中国以上に周辺の国々が発展するかも知れない」と予測する。
 アジアに世界からマネーが流入しているのは、ここ1~2年でより顕著になってきており、中国はその中心だった。世界中から資本を引き寄せて中国の成長は続いてきた。しかし、そのマネーが今、一気に中国の外に出始めている。中国の生産拠点が中国近隣諸国に移り、仕事がどんどんと中国外に移り始めているからだ。
 北海道は北東アジア、とりわけ中国とのビジネスを北海道経済活性化の大きな牽引役に位置づけている。
 しかし、前出のCEOは、「これから中国に出ようとしてももう手遅れではないか。進出していた日本企業もどんどんと中国から引き揚げて近隣諸国に生産拠点を移している。中国企業が日本企業とこれから組むのは危険。中国企業は、日本企業のノウハウが欲しいだけ。ノウハウを吸収したらそれで日本企業の役割は終わってしまう」と指摘する。
 これまでのようなビジネスモデルでは中国企業との関係はウィンウィンにはならないと言うのだ。
 北海道の企業の中国ビジネス橋渡しする役割を負っている北洋銀行や北海道銀行、そして道庁は、こうした中国の変化を子細に道内経済界へ情報開示していかなければならない。
 そのCEOは、こう結論付けている。
「日本の大手マスコミが報道する中国経済の状況は不十分。人民日報に書いてある経済情勢は日本の大手マスコミとはかなり違う場合がある。中国との関係を強めていこうとする道内企業は人民日報の情報も参考にするべきだ」
 高いサッポロラーメンが中国で大人気になる時代はもう過去のものだ。


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