尖閣諸島の領有権を巡って日本と中国の国益が衝突、外交関係は緊迫化しているが、経済面で両国の関係は最早後戻りは出来ないほど緊密化している。外交カードを使って日本に経済的揺さぶりを掛ける思考は、重商主義復活を感じさせるが、中国国民の民度の高まりによって極端に振れる事態には至らないだろう。

日本企業の対中ビジネスや中国企業の対日ビジネスをファンドとして仲介、支援しているのが札幌証券取引所上場企業利RHインシグノ。消費者金融を主業にしていたアースが投資ファンドのレッドホースグループの傘下に入り業態を大きく変えたものだ。

飯島紳社長は、「レッドホースグループは、現在のように中国ブームが起きるずっと以前から中国とのネットワークを作ってきた」と、中国ビジネスでは一日の長があると強調する。

このレッドホースの関連会社となったRHインシグノの第一号プロジェクトになった中国青島市の不動産投資は、青島市にIBMと中国データセンターが40万坪の不動産開発事業を始めたことに伴う5000万円投資。

「リターンを得て、この投資プロジェクトは終わった。投資のリターンもそうだが、それ以上に青島市の市政関係者との人脈ネットワークができたことが大きい。今後も対中投資、企業投資含めて案件を精査して投資していく」と言う。

中国企業の対日投資、とりわけRHインシグノの本拠である北海道企業に向けての投資にも積極的に対応していく考えだ。

「中国本土の経営者は、日本企業なら何でも買収するということではなく、日本の企業を見習いたいという姿勢が強い。日本企業の安全・安心のノウハウや生産管理の手法に興味を抱いている。北海道には食に関するアドバンテージがあり、中国では北海道の食品メーカーや環境関連企業にも興味を持っている」

北海道では中国資本による森林買収や倶知安でのリゾート開発が注目されている。ただ、飯島社長はこう言って警鐘を鳴らすことも忘れない。「道内の民間企業や個人が自分たちの損得のためだけで動いたら、北海道は乱開発されて整合性のない風景が広がってしまうが。少なくとも大枠で北海道の活性化になるというベクトルを合わせておかないといけない。そうしないと北海道のプラスにはならない。数年前にファンドが隆盛だったころに、札幌のあちこちでファンドが高層賃貸マンションを建てたように札幌という都市景観の価値が失われてしまう。投資を呼び込むには大義が必要だ」

(写真は飯島紳社長)

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