札幌市の秋元克広市長が今後5年間の中期計画「札幌まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」を公表し、経済強化を打ち出す中である人事が囁かれている。荒井功経済局長の札幌商工会議所入りがそれだ。市と商工会議所はいわばクルマの両輪。荒井氏は専務理事ポストに就くと見られている。上田文雄前市長時代は疎遠だった経済界との距離を名実ともに縮める人事として経済界からも歓迎されている。P1030691(写真は、札商が入る北海道経済センタービル)

 札商は来年11月が3年に1度の改選期。正副会頭や各委員会のメンバーが交代するが、高向巖会頭も4期12年を節目に勇退が既定路線。新会頭には現副会頭の岩田圭剛・岩田地崎建設社長が有力視されている。
 
 札商の顔がガラリと変わる中で、市と商工会議所は今まで以上に緊密な連携を取らなければならない大事な期間に入る。秋元市長は今回のアクションプランで、公約通り経済最優先の予算を軸に人口減少下でも持続可能なマチづくりに乗り出すが、市の中心部へのアクセス道路や丘珠空港の整備、北海道新幹線の札幌延伸をにらんだ都心再整備など経済界と市が一体となった取り組みが必要とされる。
 
 さらに市が誘致を目指す冬季五輪大会の事実上の実働部隊になるのも札商。今春の市長選で札商は、敗れた本間奈々候補を推薦したが多くの経済人は秋元支持で動き当選に導いた。
 そうした中で囁かれ始めた荒井経済局長の札商入り。秋元市長と札商の関係をより緊密にするための内外へのサインとしても打って付けの人事という訳だ。荒井氏は、中大卒で現在59歳。東京事務所長も務め東京人脈もある。
  
 札商専務理事にはかつて板垣武四市長の側近と言われた堀北朋雄氏が1988年から2003年まで15年間務めたことがある。今後、札幌市はハード、ソフトの両面で大転換期に入り、経済政策がその根幹になるのは間違いない。市と経済界が一枚岩になって対応することが求められる――その磁力が荒井氏を引き寄せているようだ。
 

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