これも不況に強い業種なのだろうか。社章やバッヂ、微章などを製作している札幌メダル商会が底堅い業績を維持している。今年の春には、社章の注文が例年を上回ったという。同社は80年の歴史を持つが、今後もこの仕事は継続できると見ている。
不況に強いといっても、景気の影響は避けられない。景気が良くなると、数人の会社でも社章を作ろうとするが、逆に悪くなると大企業でも新人採用を抑制、社章の注文も減ってしまうからだ。


それでもゼロにならないのが不況に強いと言われる所以。市町村が名誉町民などに贈呈する勲章類は景気に左右されず安定した需要があるという。
同社の強みは、こうしたバッヂや勲章類を作る鋳型を持っていることにある。鋳型を新たに作ると数十万円が必要なために注文する側もコストがかかってしまい注文そのものを控えてしまうが、同社が80年の歴史の中で作った様々な鋳型を使えば低コストでこうしたバッヂや社章を作ることができる。
こうしたメダル類を制作する会社は道内にも多数あったが、後継者難や注文数の減少で廃業、転業するところも出ている。かく言う同社も今から7年前には事業を縮小している。
同社はススキノと北1条で貸しビル業も行っており、この副業収入があるから本業のメダル制作を継続できる側面もある。ただ、北1条西3丁目のビルは、18年間テナントだった武富士がこの8月に撤退、後継テナント探しが課題になっている。武富士は過払い返還などで事業縮小を余儀なくされており、全国で480箇所の店舗を閉鎖する見込みで、札幌の本部があるこのビルの店舗兼事務所も閉鎖を余儀なくされたようだ。
このビルは元々は富士電機が自社ビルに使用していたもので築後40年近くが経過している。隣接するホテルリッチやヨコエビルは取り壊されて今は駐車場になっている。メダル商会が所有するこのビルと共に一体再開発の話も浮上していたが、今は雲散霧消してしまった。
景気に翻弄される貸しビル業と不況でも根強いバッヂや社章などメダル制作を両輪に、札幌メダル商会は100周年を目指している。

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