浜頓別町観光協会主催による「ウソタン砂金フェスティバル2017」が山の日の11日、浜頓別町のウソタンナイ砂金採掘公園で開催された。このイベント、人気漫画『ゴールデンカムイ』の一場面を再現するような体験もできるとあって多くの人たちで賑わった。※映像はこちら↓の画像をクリックしてご覧ください

インストラクターから砂金掘りの方法を真剣に聞く子供たち(写真は、砂金掘りのインストラクターから採り方を真剣に聞く子供たち)

 明治時代後期の北海道を舞台にした、野田サトル氏による漫画『ゴールデンカムイ』。「マンガ大賞2016」を獲得し、テレビアニメ化も決まった人気作。作中では日露戦争を生き抜き、”不死身の杉元”の異名をとる元軍人である主人公の杉元佐一が、ある目的のために一攫千金を夢見て、ゴールドラッシュに沸いた北海道の地で砂金を採っている場面が登場する。

 まるで主人公になったような気分で砂金掘り体験ができるのが、「ウソタン砂金フェスティバル」。会場の公園内を流れるウソタンナイ川は、明治31年(1898年)、道北のパンケナイ川(枝幸町)、ペーチャン川(中頓別町)と共に砂金がみつかったのを契機に全国から砂金を求める人々が殺到。日本版ゴールドラッシュを巻き起こし、川の上流では国内最大の金塊(768.75g)も発見されている。

 そんな実際に起きたかつてのゴールドラッシュの歴史を多くの人に知ってもらうことを目的にしたのがこのイベント。92年には砂金掘りの早さと正確さを競う第1回全日本砂金掘り大会が開催され、2002年には砂金掘りの世界大会を誘致して、「世界砂金掘り浜頓別大会」として16ヵ国から455人の参加選手が集まった。それ以降もイベントは続いたが、今年は競技会をやめ、より幅広い世代に砂金とウソタンの自然を楽しめるお祭りとして開催した。

 小学生以下は無料で、砂金掘り体験がウソタン川と水槽で行われた。川掘りでは、地元の砂金採りの名人であるインストラクターの指導のもと、日本の伝統的な砂金掘り道具である「カッチャ」という鍬(くわ)と、まな板のような「ゆり板」を使って体験。慣れた手つきでゆり板をゆする子供や真剣な目つきで石を取り除く子供、「沢山採れたよ」とゆり板の上で黒い砂鉄と共にきらっと光る砂金を笑顔で見せる子供もいた。

 毎年、札幌から参加している親子は「1年経つと採り方を忘れてしまいますが、このイベントを楽しみにしている」と話した。参加者たちは川掘り体験で採った砂金を各自持ち帰った。

 このほか、小学生以下を対象にした「川でお宝探し!」も行われた。これは東宗谷農業協同組合から提供された野菜や果物、ジンギスカンなどの写真を付けたペットボトルを川の上流から流し、それを捕まえるお楽しみイベント。さらに間伐材を使ってコースターやミニチュアなどを作る宗谷総合振興局森林室による木工体験も行われた。フェスティバルには子供40人を含め、道内外から約200人が参加した。

 この地からゴールドラッシュが過ぎ去って約120年。わずかだがウソタンナイ川は未だに自然金が採れる貴重な場所で、砂金採掘公園にはキャンプ場もあるため1、2ヵ月テントを張り、黄金の自然金粒を求めて砂金採りをする人もいる。イベント参加者は一時ほど多くないが、「ゴールデンカムイ」が追い風になって来年は参加者が増えるかもしれない。
ウソタンナイ川での砂金掘りの様子(写真は、ウソタンナイ川で行われた砂金掘りの様子)


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