昨年上半期に北海道を訪れた外国人観光客は、一昨年上半期と比べて45%増の38万5900人になった。とりわけ中国からは219・3%増と2倍以上になり中国の北海道人気の高まりを裏付けた形だ。今後もアジア諸国からの観光客は増加するものと見られ、20年来の課題だった「観光立国」がようやく実現できそう。


 道内への観光入り込み客数は上半期全体では3484万人。内訳は、道内客3132万人、道外客313万人、外国人39万人。算定方式が若干違うものの一昨年上半期と比較すると、道内客は100%と同数、道外客は98・9%、外国人は前述したように45・4%増になった。
 道内、道外観光客が伸び悩む中で外国人観光客が北海道の観光を牽引している姿がくっきりと見える。
 外国人観光客の国別内訳は次のようになっている。
 台湾 10万3700人(29・0%増)
 韓国9万0399人(60・4%増)
 中国6万0300人(219・3%増)
 香港4万7200人(26・9%増)
 シンガポール1万6400人(46・4%増)
 マレーシア1万2100人(417・2%)
 タイ1万0200人(47・8%増)
 その他4万5700人(6・3%増)
 その他は、ベトナムやオーストラリアなど。
 一昨年上半期は、新型インフルエンザや世界的な金融危機による景気後退があったため、北海道を訪れる外国人観光客も減少したが、昨年上半期はその反動を加えても増加基調にあることは確かなようだ。
 中でも中国とマレーシアの伸びは著しく、東南アジアの新興国で経済成長が続くことを考えれば北海道観光の流れは益々太くなることは間違いないだろう。
 外国人の滞在日数は平均すると5日間、その間に消費する金額は一人当たり10万7000円という統計が出ている。道の高原陽二副知事は、「道民一人当たりの年間消費額は約200万円なので、中国をはじめとした外国人観光客19人が北海道を訪れると定住人口が1人増えたことに値する」と期待感を膨らませる。
 増加する外国人観光客に北海道の食や物産を提供していけば「観光でメシが食えるかという議論もあるが、私は観光でメシが食えると思う」(高原氏)と述べ、工場誘致など旧来型の産業振興策から観光、食をターゲットにした振興策に重心を移すことも明らかにしている。
 1990年代、横路道政で発信した『観光立県宣言』は、リゾート連坦構想などバブル的要素が強く結局は画に描いた餅で終わってしまった。宣言から20年が経過してようやく本当の意味で観光立国の入り口に立ったと言えそうだ。


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