社団法人北海道ファシリティマネジメント協会は8日、「ファシリティマネジャー資格者研修セミナー」を札幌市中央区のホテルノースシティで開いた。ファシリティマネジメント(FM)は、企業や団体が活動するに当たって施設と環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動のことでハードとソフトを一元的視点で捉え、利便性を高めると同時に設備更新などを効率的に実施していくための手法。セミナーには道内のFMマネジャー資格を有する約60人が出席した。(写真は、講演する菅原利浩北海道ガスエネルギー営業部長)
 
 研修セミナーでは、北海道ガスエネルギー営業部長の菅原利浩氏と地方行政独立法人北海道立総合研究機構北方建築総合研究所所長の瀧田裕道氏、同研究所環境科学部構法材料グループ研究主幹の吉野利幸氏がそれぞれ講演。
 
 菅原氏は北海道の天然ガス事情について、「一次エネルギーに占める天然ガスは全国が16・5%の比率なのに対して道内は2・1%と低く石油依存度(54%)が高い。LNG火力発電所がないためだが、当社では事業用、家庭用の天然ガス普及拡大のために400億円を投じた石狩LNG基地を建設中で2012年12月には稼動、磐石な供給基盤を確立する」と述べた。 
 
 石狩LNG基地には直径88㍍、高さ54㍍のタンク1基や受け入れバースを建設しており、稼動によって18万㌔㍑、約1億立法㍍の天然ガスが貯蔵できるという。 
北ガスでは現在約4億4000万立方㍍の道内産勇払天然ガスを主要都市に供給しているが、石狩LNG基地の稼動で供給能力は22%高まり、食品工場など工業用、病院や老健など医療施設、商業施設、公共施設の空調、給湯、厨房向けなどに需要を開拓していく。
 
 続いて瀧田氏は、北総研の概要を説明したうえで、戦略研究として『新たな住まいと森林資源循環による持続可能な地域の形成』に取り組んでいることを紹介、「森林資源という川上から北方型のCO2排出ゼロの新たな住まいという川下までを繋げる地域循環モデルの形成する」と語った。
 
 また、吉野氏は、北総研が開発した市町村保有建築物の計画的保全支援ツールを紹介、「中小地方自治体では建物の一元管理が出来ていないところが多いが、今後人口減による施設の縮小、予算の減少で効率的な保全管理、更新が必要になってくる。北総研の支援ツールを使えばローコストで修復できる方法なども提示できる」と採用を呼びかけていた。


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