札幌大学創立50周年記念講演会が9月29日、札幌市豊平区の札幌大学プレアホールで開催された。テーマは「ファシリティマネジメントとまちづくり」で東京理科大学名誉教授の沖塩壮一郎氏、総務省自治財政局準公営企業室長の伊藤正志氏(1970年2月札幌市生まれ)が講演した。IMG_8371 (2)(写真は、札幌大学で開催された創立50周年記念講演会)

 開会の挨拶に立った山田玲良副学長は、「本学は創立50周年を迎え転換点を迎えているが、本学の歴史ある施設を次の世代に連続性をもって継承していくことが100年大学を目指す大きなテーマ。歴史ある建物を活かしたまちづくりとして脚光を浴びているファシリティマネジメントについて講演会を企画、その考え方を参加者ともども学びたい」と話した。

 講演会では最初に東京理科大名誉教授で一般社団法人北海道ファシリティマネジメント協会最高顧問の沖塩氏が『ファシリティマネジメント(FM)~成果を挙げている事例を通して~』をテーマに講演。沖塩氏はマサチューセッツ工科大学がオイルショックを契機に取り組んだ空き教室の有効利用など、大学施設の利用度を把握して効率的に活用した事例や1970年代後半にコーネル大学大学院にFMコースを設置して米国社会で注目を集めた例などを紹介した。
 また、札幌市のオリンピック・パラリンピック招致をFMの視点で考え、「先進国のオリパラ開催のモデルにならなければいけない。50年先を見据えた長期計画で招致するべきだ」と述べた。

 次に総務省の伊藤氏が『公共施設等の総合的・計画的な管理~人口減少と財政制約を乗り切る自治体経営』と題して講演。伊藤氏は「1970年代に全国の自治体で建設された公共施設が大量更新時期を迎えているが、人口減少、市町村合併による施設の効率化という課題も抱えており、今こそFMが求められている」と述べた。公共施設最適化事業債を活用した事例として、福岡県飯塚市の小中一貫校建設事業や山口県下関市の認定こども園を中心とした複合施設なども紹介した。

 伊藤氏は「公共施設等のマネジメントは待ったなしの課題」としたうえで、「住民は自らの自治体の公共施設等のマネジメントに関する取り組みを知り、自分のこととして議論に参加することが重要。それが住民自治のきっかけになる」と結んだ。
 講演後には質疑応答も行われ、大学におけるFM活用例や国立競技場の建て替え問題が公共建築の在り方に一石を投じた例などが紹介された。


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