一般社団法人北海道ファシリティマネジメント協会(略称HFMA)は2日、札幌市北区の札幌サンプラザで沖塩荘一郎東京理科大名誉教授(公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会顧問)を招き、「新国立競技場計画の反省と札幌冬季五輪への期待」をテーマに講演会を開催した。HFMAの会員や札幌市の担当者など約50人が出席、沖塩氏の講演に耳を傾けた。IMG_0386(写真は、講演する沖塩荘一郎東京理科大名誉教授)

 沖塩氏は、新国立競技場の建設費が当初1300億円とされていたのに3000億円に膨らみ、安倍首相が白紙撤回したことについて、「建設費のみを問題にしているがもっと大切なことはオリンピック後にどう使っていくかということ。建築物を良い状態で保ちつづけるには50年間で建設費とほぼ同額が必要。新国立競技場の建設については長期の収支計画を明示することが必要」と訴えた。
 また沖塩氏は、旧国立競技場について、「当時の建設省営繕部が設計した素晴らしい競技場だった。あの競技場をリニューアルして使えば成熟社会の新しい五輪の在り方を示す好機だった。2度も五輪開催すれば世界遺産になる可能性もあったのでは…」と話した。
  
 札幌オリンピック、パラリンピック誘致に触れ、「大倉山、宮の森のジャンプ台は既に基準に対応できており開会式は札幌ドーム、地下鉄も延伸し選手村は周辺の農水省保有地に作り五輪後は市営住宅にする方向と聞いている。滑降や複合はニセコ、富良野が候補になっているようだ。基本は市民が開催を望むこと。80%以上の市民が賛同することが必要で、早い段階から市民を巻き込んでいくことが大切」と述べた。
 
 札幌にある既存のスポーツ施設を維持更新、新築するには莫大な資金が必要だが、「上海万博の日本館のように取り壊すことを前提にした仮設の施設でも長期的な維持更新を考えると効率的になる可能性もある。トータルの費用を如何に低減できるか、民間の知恵を活かすべきだ」と指摘した。最後に「札幌五輪は公共施設の将来的なモデルとなるようにして欲しい」と締めくくった。


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