「UIターン」の転職コンサルティングによる人材を地方の企業に紹介するビジネスで先行するリージョンズ(本社・札幌市中央区)。安倍政権の三本の矢を全国津々浦々に波及させていく地方創生の原動力にもなる人材の流動化事業だ。起業してから8年目、高岡幸生代表取締役(47)に会社の現状と将来展望を聞く2回目をお届けする。IMG_4452

【たかおか・ゆきお】1967年7月18日生まれ、札幌市出身・札幌西高、北大法学部卒。1991年リクルート入社、自社採用2年、採用コンサルティング15年を務め退社、2008年5月リージョンズ設立。
 
 ――起業してもなかなか順調にはいかないものですね。
 
 高岡 会社は社長の器次第だと言いますが、まさにその通りですね。遅ればせながら、昨年初めて自分はダメな経営者だということをようやく自己認識できました。不思議なことにそこからまた業績が伸び始めたのです。今年は、内部留保を高めるプロセスで会社のチームワークを良くしていくことを徹底したい。『致知』という雑誌が札幌で5月中旬に開催する「第5回社内木鶏全国大会」でも事例発表をすることになっています。感動するような話を社員や社長がして参加者が一番感動した企業の成功事例を投票で決める大会です。学芸会的な発表で大声を出したりするのですが、目下その練習をしていて社員は今まで会社で出したことのないような大きな声で仙台、宇都宮、札幌の3拠点を映像で繋ぎ毎朝実施しています。そのことですごくチームワークが高まっていますし業績も良くなってきました。
 
 ――社員は現在20人ですが、社員の考えを一致させるため今回の社内木鶏会のほかにも何か取り組んでいますか。
 
 高岡 『リージョンズフィロソフィ』という経営哲学を書いたポケットサイズの手帳を作って社員に配布しています。稲盛さん(和夫氏、京セラ創業者)の『京セラフィロソフィ』を真似たものです。京セラは78項目ですが当社は11項目。毎朝これを読んで社内で共有しています。こういうことに力を入れるのは、精神的にも筋肉質の会社にしようという思いがあるからです。
 最初は、私自身も木鶏会に参加したりフィロソフィを作って全員で唱和したりするのはあまりしたくないなという思いもありました。でも、いわゆる“良い会社”にしていくには何でもやれる会社になるというのが重要なポイントだと気付いたのです。
 大手企業と私たちの企業との差は、俊敏に変化したり良いものはすぐ取り入れたりすること。それを社内の末端まで徹底する力は私たちは大手より強い。それを本当に強いものにしていくためにはこういう精神的な部分やチームワークがとても大事になってくる。そんなことで、ひたすらこういうことをやり続けている訳です。
 
 ――ところで、全国で展開している同様の転職コンサルティング会社と連携もしていますね。
 
 高岡 リージョンズを設立した翌09年に全国の地場人材会社9社で『リージョナルスタイル』を設立しました。『暮らしたいところで思い切り働く』というコンセプトのUIターン人材紹介の連合体です。私は北海道、東北、北関東を担当していますが、9社で全国18エリアをカバー、UIターンのホワイトカラーの転職紹介という当社と同じコンセプトで、こちらの売上げもかなり伸びて今期は11億円の売上げを見込んでいます。リージョナルスタイルのコンサルタントは全員で50人。この業界でコンサルタントが30人を超えているのは30社しかないのでグループとしては上位にきていると言えます。
 
 ――その9社とはどういう経緯で組むことになったのでしょう。
 
 高岡 東京にリクルートの大先輩が経営しているクライス・アンド・カンパニーという紹介会社があってその社長が地方のネットワークを作りたい、とかねてから主張していたのです。地方はきちんとした人材会社が少ない。クライス社は経営者クラスのヘッドハンティングをしているのですが、地方に声をかけてもレベルが合わないそうです。そもそも人材案件を持っている会社が少ないからです。
 私が、「東京の上場会社に勤めていて地方で社長をやれるような人材を地方に紹介したい」という話をしたらネットワークを作ろうということになった。最初はその大先輩と2人で始め、以降はリクルート出身で同様の人材会社を経営している仲間たちが集まって9社になりました。
 
 ――運営の形態はどういうスタイルですか。
 
 高岡 リージョナルスタイルはフランチャイズの本部の役割をしています。リージョンズをはじめ投資している3社も加盟店としてその会社にぶらさがっている形です。9社がすべてリージョナルスタイルに会費を払って数ヵ月に一度は同じシステムで9社の社員全員が教育研修を受けています。
 
 ――リージョナルスタイルも成長が期待できそうですね。
 
 高岡 私はリクルートにいた時、つくづく感じたのは地方の支社であっても経営の独立性があれば伸びていくということ。本社の言うことを聞いても業績が上がるのかどうかはわからない。むしろ、言うことを聞かない地方の社員の方が業績を上げていたりする。それならアークスの横山清社長ではないが、経営に自主性を持たせた連邦経営で各自が必死に経営するスタイルが良いのではないかとリージョナルスタイルという形にしたのです。皆で一定期間ごとに集まって情報を共有して良い答えを持ち帰ったりすれば、本社と支社の関係性以上に効果的だと思います。
 
 ――ご自身の会社、リージョンズをどういう会社にしますか。
 
 高岡 昨年までは「上場を目指す」とあまり地に付いていないような言い方をしていました。しかし、考えが変わりどんな経済環境になっても1年は売上げゼロでも存続できるくらいの体力がある会社にしたい。それが今後3年間の目標。内部留保を高めるプロセスで経営を良くしていきたい。
 
 ――上場を目標に当面は社内固めに徹するということですか。
 
 高岡 社内固めを中心にして1億円近い内部留保ができたら、そこから上場の準備に入ります。まずは札証のアンビシャス上場を目指したい。9社で構成しているリージョナルスタイルは経営者の経営観が違うので上場の意識は一致していないが、会社が大きくなってくるプロセスで上場せざるを得ない場面が出てくるかも知れません。
 
 ――最後に会社を「リージョンズ」と命名したのはどうしてですか。
  
 高岡 リージョンつまり地方を活性化したいからです。「ズ」と複数形にしたのは複数の地方を複数の人材で活性化していこうと考えたからです。Uターンのビジネスモデルでは全国にもないので安倍政権でも注目され地域創生に繋がると内閣府の担当者が昨年末に当社に来ました。内閣府で作っている政策の中枢に当社のモデルが一部紹介されています。今年は私たちがネームバリューをあげる千載一遇のチャンスでもあると考えています。(インタビュー終わり)